人工鼻と加温加湿器~絶対湿度と相対湿度~

人工呼吸器

おはこんばんちわなら

さて、今回はこちら。人工鼻と加温加湿器の核となるお話、湿度についてです。

まぁなぜこの話になったかというと、家族の会話からだったんですね(どんな会話してんだよ)。

そんなこんなで今回の単発テーマはこちらにしてみました。

では参りましょう。加温加湿と湿度の世界へ

まず相対湿度について

さて、ここを読む皆さんの職種はどういう構成比率でしょうか。

恐らく臨床工学技士の方が大半ではあると思います。が、それでもこの2種類の湿度を気にしたことがある方はどれくらいいるでしょうか??

さて、相対湿度(RH)とは、ある温度において空気中に含むことができる最大限の水分量(飽和水蒸気量)に対し、どの程度の水分が含まれているかを示す値です。単位は%で、空気の乾燥具合を知るために天気予報などで一般的に使われている数値です。

相対湿度は、空気中に存在する水蒸気の量を、同一温度で飽和状態にさせるのに必要な量に対する割合(%RH)で表したものです。RHは温度に強く比例し、温度変化に非常に敏感です。

相対湿度が100%の場合、大気中に含まれる水蒸気量が飽和し、結露が発生します。その時の温度を露点温度といいます。

相対湿度が50%の場合、水飽和水蒸気量の半分の水蒸気が含まれていることになります。

次に絶対湿度について

さて、絶対湿度とは、空気中に含まれる水蒸気量のことです。1㎥の正方形の空気中、つまり空気1kgに対する水分量が絶対湿度です。

絶対湿度は、g/㎥やg/kgで表します。たとえば、気温が30℃で相対湿度が50%だとすると、絶対湿度は15.2g/㎥となります。

相対湿度の求め方

相対湿度の式は次のとおりです

$$相対湿度(RH : relative humidity)(%) = 100 × \frac{水蒸気分圧(kPa)}{飽和水蒸気圧(kPa)}$$

相対湿度は、水蒸気分圧の飽和水蒸気圧に対する割合と定義されます。

相対湿度が100%を超えるとき、超えた分の水蒸気圧-つまりは水分-はどうなるのか?

それは結露として現れることになります。

さて、ここで飽和水蒸気圧とは何か?という話になります。なんせベースになる訳ですから。

飽和水蒸気圧とは

飽和水蒸気圧とは、その温度でめいいっぱい含むことが出来る水蒸気の量ということであり、g/m3やg/kgで表されます。

計算式としてはTetent(1930)の式が近似であり、日常生活上はこの計算式で問題はないそうです。

$$e(T)=6.1078 \times 10^ \frac{7.5T}{T+237.3} $$

Tは任意の温度であり、これによりその温度における飽和水蒸気圧(hPa)が求まります。

相対湿度は上記でも述べたように飽和水蒸気圧が計算式のベースとなる。

式を展開し、任意の%を挿入することでその温度における水蒸気分圧が求まるということになります。

絶対湿度の求め方

相対湿度に対して、絶対湿度(AH : absolute humidity)とは、大気中に含まれる水蒸気の密度(容積あたりの質量)の事を指します。

水蒸気を理想気体と見なすと、飽和水蒸気量a(t)は以下の式で示されます。

$$a(t) = \frac{217 \times e(T)}{T+237.15}$$

となります。ここでいうe(t)が先ほど求めた飽和水蒸気圧です。Tは温度になります。

絶対湿度を求めることで、容積当たりの水分の質量を求めることが可能となります。

これは相対湿度で結露になった部分も含めて、今そこに何g/m3あるのかを表すことになります。

どう臨牀に関係するの??

ここまでだらだらと定義や数式をお話してきた訳ですが、さてこれが医療でどう関係してくるのか??と思う方は大勢いる事でしょう。

表題にある通り、今回は人工鼻・加温加湿器についての記事を書いている訳です。

ということは、加湿ー湿度というのは必然的に理解する必要があるとなってくるわけです。

生理学に関わる湿度

僕ら健常人が呼吸をするとき、意識はしていませんが水分の出納をしているわけです。

呼気は実は湿度95%なんです。ただし、上記でも述べているように%で表示するということは、これは「相対湿度」なんですね。

では実際には何g/m3なのでしょうか?

人間の体温を36℃とした場合の相対湿度95%とは、

$$e(T)=6.1078 \times 10^ \frac{7.5 \times 36}{36+237.3} = 59.493244276297$$

$$a(t) = \frac{217 \times 59.493244276297}{36+237.15} ≒ 47.2$$

となります。つまり、約47.2g/m3の水分を含んでいることになるのです。

これ以上に多くても少なくてもいけないという事がここから分かってきます。

さて、生理学としての加湿能のお話は実はここでおしまいになります。

これ以上はまた別の記事にてご説明したいと思います。

まとめ

相対湿度とは

ある温度Tにおいて、めいいっぱい含むことが出来る水分量(飽和水蒸気圧)に対しての水分の割合。

例)温度37度の時、めいいっぱい含むことが出来る水分量(飽和水蒸気圧)は44g/m3であり、その空間に22g/m3あった場合、相対湿度は50%ということになる。

絶対湿度とは

その空間中に対して存在する水分量(容積に対する質量)の事を指します。

例)温度37度の時、めいいっぱい含むことが出来る水分量(飽和水蒸気圧)は44g/m3であり、その空間の相対湿度は50%であれば、水分量は22g/m3ということになる。

あとがき

今回は当ブログでも2番目に数式多めな記事になりました。

人工呼吸器に欠かせない人工鼻・加温加湿器を理解するための手前にある知識のご紹介でしたが、いかがでしたでしょうか。

この次はちゃーんと生理学に則ったお話?をしたいと思います。

が、如何せん僕も勉強中の身なので、少しお時間くださいorz

というわけで、今回はここら辺でお暇致します。

ではまた~~

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