透析における栄養指標~GNRI~

栄養関係

 さてさて、透析における栄養指標シリーズも第3弾、最終回となります。

 今回はタイトルにもある通りGNRIについて解説していきたいと思います。

 nPCR , %CGRときまして、まぁ順当かな?と思っています

 さ、前置きはこのくらいにしまして、早速行きましょう。

 では栄養の世界へようこそ。

GNRIとは?

 さて、よく学会発表などを聞きに行くとGNRIという単語を見聞きします。

 ずばり栄養摂取やフレイル、サルコペニアの話題で出されるこの単語ですが、これはどういう意味で、どういう場合に用いられるのでしょうか?

 という訳で、まずは正式名称と日本語訳からご説明したいと思います。

 まずGNRIの正式名称は

Geriatric Nutritional Risk Index : 栄養リスク指標

 と呼ばれるものです。

 まぁ名称からも分かる通り、栄養不足からくるリスクを測るものになります。

何を表しているのか?

 身長とDW、アルブミンの値から算出する栄養指標の一つです。

 一昔前は食事制限をすることが是とされていた時代、リンやカリウム、飲水を制限するために様々な取り組みがなされました。

 その結果、何と予後が悪化しているのではないか?という話が出始めたのです。それは、しっかりとしたタンパク摂取が出来ておらず、結果としてエネルギー産生が出来ず、PEWを発症してしまう事が明らかとなってしまった事にあります。

 そこで、何を指標に栄養状態を評価すればいいのか?が議論となりました。

 そこで開発されたのがGNRIでした。

基準値は?

 栄養リスクを表すGNRIですが、では基準値はどうなっているのでしょうか?

 それが以下になります。

  • GNRI>98 : 異常なし
  • 92<GNRI<98 : 軽度栄養リスク
  • 82<GNRI<92 : 中等度栄養リスク
  • GNRI<82 : 重度栄養リスク

 計算により出された値を元に、その患者の栄養状態を評価します。

求め方は?

 元はBouillanneら2)が考案した式らしいですが、それをYamadaら3)が日本人向けに改良し、今に至ります。

 で、んじゃ計算式はどんなものかというと、意外にシンプルです。これまでの栄養指標シリーズの中では最もシンプルではないでしょうか。

$$GNRI=14.89 \times 血清アルブミン(g/dL)+\{41.7 \times \frac{現体重kg}{理想体重kg}\}$$

 となります。

理想体重としてはBMI : ボディーマスインデックスも使用可です。

$$理想体重=22\times BMI=22 \times \frac{kg}{m^2}$$

 但し、公式には性差を考慮した理想体重算出式が存在します。以下がその式になります。

$$男性 : 身長(cm)-100-[(\frac{身長cm-150}{4})]$$

$$女性 : 身長(cm)-100-[(\frac{身長cm-150}{2.5})]$$

 上記算出式が理想体重になります。

評価方法

 上記計算式の中で、【理想体重】という変数が出てきました。

 勘の鋭い方はお気付きかもしれませんが、透析患者においては理想体重というのは【DW】となるわけです。しかし、このDWは絶対的なものではありません。その時々により容易く変動するものです。

 そこで、樋口ら1)は患者を4群に分けて評価することを考案しました。群別として、

  • 1)血清アルブミンが高値で,ドライウエイト(DW)が高い患者群
  • 2)血清アルブミンが高値だが,DWが低い患者群
  • 3)血清アルブミンが低いがDWが高い患者群
  • 4)血清アルブミンが低く,DWも低い患者群

 の4群です。樋口らは、血清アルブミンとGNRIの乖離症例として,血清アルブミンを別に考えた場合,ドライウエイト/理想体重が,低い患者群ほどGNRIは低値になり,高い患者群ほど高値になる.つまり,理想体重に比し,ドライウエイトが低い痩せた患者はGNRIが低値になる傾向を認めた。とあります。

 GNRIは栄養の指標であるアルブミンと有意に正の相関を示す為、4群で分けた場合にGNRIが高く予後も良いと思われるのは1)→3)→2)→4)の順になります。

 そのことを念頭に、気を付けてこの検査値を見る必要があります。

 ただし、この文献1の疑問点?としては、アルブミンの数値をいくらで見ているのか。になります。文献上では、平均値は3.9±0.4g/dLとありますが、透析患者でここまで高値を維持している患者は稀なのではないでしょうか。その為、上記4つに分類するにも指標が必要だと思っています。

 この点にも注意してGNRIを用いてください。

あとがき

 さてさて、今回も若干長編となりました栄養指標シリーズでしたがいかがだったでしょうか。

 GNRIは計算は簡単ですが、運用・評価方法が難しいということが、今回の執筆から判明しました。

 しかし、だからと言って用いないというのも間違っているのではないでしょか。

 だからこそ、データを集め、日々比較評価しながら患者管理に役立てていきたいと思うのです。

 と、御託を並べるわけですが、筆者もこういう結末を迎えるとは思っておらず、若干困ったな~…と思っています。「これ、アルブミンとDWでめっちゃ動くやん。しかもDWがズレてるとそれだけで予後変わるやん」と。

 JSDTから提供されているWADDA Systemを用いた解析もしてみたいと思いますが、筆者の施設、実は施設会員じゃないんですよね…。なのでこれが難しく…。はぁ…入ってくんないかな~施設会員。

 さ、では愚痴やら感想もここらへんでお終いにしたいと思います。

 栄養指標シリーズはここで終わりです。しかし、フレイル・サルコペニアなどの解説もしなければ、なぜ栄養指標が大切なのか?がはっきりしないと思いますので、その内記事に出来ればな~と思っています。

 その際はどうかご笑覧ください。

 では今回はこの辺で。まったね~。

1)樋口 輝美 , 眞野 善裕 , 石川 由美子 , 山崎 俊男 , 水野 真理 , 大川 恵里奈 , 堀田 直 , 瀬戸口 晴美 , 早瀬 美幸 , 吉沢 美佳 , 堀之内 那美 , 榎本 伸一 , 安藤 英之 ; 血液透析患者のgeriatricnutritional riskindex(GNRI)と各種パラメーターとの関連 ; 透析会誌4510:937〜945,2012

2)Bouillanne O , Morineau G , Dupont C , Coulombel I ,Vincent JP , Nicolis I , Benazeth S , Cynober L , Aussel C :Geriatric nutritional risk index : a new index for evaluating at-risk elderly medical patients . Am J Clin Nutr82:777-783,2005

3)Yamada K, Furuya R, Takita T, Maruyama Y, Yamaguchi Y, Ohkawa S, Kumagai H: Simplified nutritional screening tools for patients onmaintenancehemodialysis.AmJClinNutr87:106-113,2008

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