心不全のバイオマーカー~BNP~

血液浄化

 おはこんばんちはなら

 さてさて、心不全のバイオマーカーも、第2弾としてBNPを扱おうと思います。

 第1弾の記事は下記をご参照ください。

 さて、では前置きはこのくらいにしまして、早速行きましょう。

 では行きましょう!BNPの世界へ!!

BNPとはなんぞや??

 はてさて、そもそもBNPって何なんでしょうか?という所からお話を始めましょう。

 BNPとは

brain natriuretic peptide : 脳性ナトリウム利尿ペプチド

 の事を指します。

 なんで脳性と書いているのに、心不全マーカーとして働くのか?それについては次項でご説明します。

BNPの歴史

 BNPが脳性と言われる所以は発見されたタイミングに隠されています。

 第1弾記事でもご紹介しましたが、内分泌系の歴史はそんなに古くはありません。

  • 1958年 Kirshらによる心房特異顆粒の発見
  • 1979年deBoldがラット心房組織からの抽出物を別のラットに静脈投与をし、ナトリウム利尿、体血圧低下することを発見
  • 1984年松尾・寒川らがヒト心房組織からANPの単離に成功し命名
  • 1988年同グループよりブタ脳よりBNPを単離のちに、ヒト心房心室にBNPが存在し、主に心室より分泌されていることが示された
  • 1990年同グループよりブタ脳よりCNPを単離のちに、血管内皮細胞でも産生されていることが示された

 とまぁざっくりこんな歴史です。

 で、BNPはどうかというと、1988年にブタ脳から単離されました。

 これが脳性ナトリウム利尿ペプチドと言われる所以です。のちに、このペプチドが心室から分泌されていることが判明し、心不全のマーカーとして利用されるようになりました。

分泌機序は?

 BNPの分泌機序については検索すればよく出てきます。そりゃそうですよね。こんだけメジャーなんですから。

 で、分泌臓器は何かというと心臓です。心臓の心室で分泌されます。

 正常の心臓でもBNPは心室から合成・分泌されています。末梢血中の濃度比はANP:BNPで6:1ですが、心不全が進行することでこのバランスは容易く崩れてしまいます。心不全の重症度が上がることで、BNP濃度は容易くANP濃度を超えてきます。その為、BNPの方が心臓の状態を細かく反映すると考えられています。

基準値

 健常人での基準値は

  • 18.4pg/mL

 となっています。しかし、透析患者では体液貯留傾向があるため、うっ血性心不全の様態を示します。なので、基準値も健常人とは変わり、少々高めに設定されることが多いです。具体的に基準値としては

  • 150~200pg/mL

 だと言われています。

 しかしながら、鋭敏に表し過ぎてDWが合っている患者でも多く検出されることもあるので、これ一つでDWを決定するのは避けるべきでしょう。

BNPとしての作用機序

 BNPはただ心室の負荷具合を教えてくれわけではありません。心室に何かしらの異常があるから分泌され、是正しようとするわけですよね。ではその働きは何なのか?それについて述べていこうと思います。

 が、働きはANPとほぼ類似しており、心保護のための利尿作用、血管拡張作用、レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系の抑制作用、抗利尿ホルモン(ADH)、エンドセリンなどの心毒性を有する神経体液因子の抑制に働きます。

 詳細は先の記事に譲りますので、そちらをご覧ください。

透析におけるBNPの役割

 あまり紹介する意義はありませんが、心不全のマーカーということで、勿論DWの指標の一つとして用いられます。

 hANPとBNPの違いとしては、その鋭敏さにあります。

 ANPは心房の伸展負荷によりすぐさま分泌され、その血中濃度ピークは30分とされています。

 それに対して、BNPは常時心室負荷が掛かっている状態で血中濃度が上昇していくため、長期の心室負荷、心不全を現します。NYHAでの指標としてBNPは優秀な指標ではありますが、その解釈には一定の注意が必要です。

あとがき

 今回は心不全マーカーであり、DW決定の指標ともなるBNPのお話を紹介しました。

 皆さんの施設は何派でしょうか。hANP派?BNP派?

 弊社はBNP派です。しかし、つい先日、Dr.の不手際によりある問題が発覚したため、数名が別の採血項目で評価することとなりました。

 次回はその検査項目について解説出来ればと思います。

 ではBNPの記事はこれにて終了。

 また次回お会いしましょう。

 ではでは~

1)岸本 一郎 , 徳留 健 , 寒川 賢治 ; ナトリウム利尿ペプチドとその受容体系を介する心臓・血管保護作用 ; 心臓 Vol.4 No.12(2009)

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