データの向こうを俯瞰する

栄養関係

 さてさて、2024年ももう終わりですね~。早いもんです。

 この1年で、筆者は様々な記事を執筆しました。

 Basicな記事からadvanceな内容のものまで様々です。

 その中でも特に注力したコンテンツとしては、貧血-Anemia-と栄養-Nutrition-の二つです。

 これらに共通するのは、直接透析条件を変更しても何も影響しない。という点です。

 これが何を意味するか。勘の鋭い読者の方であればお気付きかもしれませんが、要するにこの二大コンテンツは臨床工学技士の基礎的な知識を以てしても、どうする事も出来ない部分だという事です。

 処方権は医師の専決事項ですし、栄養は管理栄養士の指導や患者自身でどうにかしなければならない部分です。

 ではこれらにどのように臨床工学技士は関わるべきなのでしょか。

 それについて、ちょっと思った?事があるので言語化してみようと思います。

 ではちょっとした筆者の脳内旅行へようこそ。

腎不全と貧血

 さて、まぁ我らのメインフィールドは腎不全です。横断領域は多岐に渡ります。

 筆者のブログでも腎性貧血については何度も論じて?きました。

 まず貧血を論ずる前に、生理学の復習から始まりました。

造血には鉄が欠かせません。その為、造血の前に鉄についてご紹介しました。そして次に造血をご紹介

 上記2つの記事を以て、簡単ですが造血の機序や機能について、腎不全の側面からの紹介は終わりです。

 続いて腎不全による貧血の機序について

 腎性貧血はどのようにして引き起こされるのか。そして、その対処方法には何があるのかについて紹介しました。

 ESA製剤には様々あり、EPO製剤もその一つではあります。しかし、昨今はその機序をさらに飛び越え、HIF-PH inhibiterが登場しました。

 慣れない医療従事者にとっては、その機序は複雑に感じる事もあるかもしれません。その為、HIF-PHiについても1つ記事を書かせていただきました。

 また、Hepcidin-25とHIF-PHiの関係性などについても記事を書いています。

 そして初学者や学生向けとして、国試レベルの内容も執筆しています。

 とまぁ、弊ブログでの大き目の貧血記事はこんなところでしょうか。

 これらは筆者の中ではBasicに位置付けています。

 では続きまして

栄養と透析

 ここ数年、栄養と透析は患者の高齢化も相まってホットな話題となっています。

 そもそも栄養の歴史は意外にも古く、透析技術認定士のテキストでも収載されています。

 上記の記事では、透析効率の話にも言及していますが、nPCRに関しても論じています。

 nPCRは1980年代に行われたNCDSから得られた事実です。透析栄養の歴史はここからスタートしたと言っても過言ではないのかもしれません。

 その後、世界各国からは徐々に栄養指標が発表されていきました。

 上記2つの指標は海外発の指標として、とても有用なものとなりました。

 しかし、ここで若干の問題が発生します。「果たして、白人向けに解析されたこのデータは、アジア人にどれほど当てはまるのだろうか?」。この問題は、至適透析をめざす世界全体で発生した、患者の高齢化という問題から派生した疑問でした。ではその高齢化の何が問題なのか?それが下記の記事達です。

 日本にこれらの話題が輸入され始めたのは90~00年代。比較的最近ではあります。しかし、研究が進むにつれて、これらを統合した疾患群が新たに生まれます。それがPEWです。

 PEW自体はProtein-Energy Wasting:タンパクーエネルギー浪費と翻訳され、筋骨格というよりは、栄養摂取不足に準ずる疾患概念とでもいましょうか。少し視点を変えた考え方です。

 しかし、これらはヨーロッパを中心に考えられた疾患や概念なため、アジアの医師たちを悩ませました。そして考えられたのが、新しいアジア人向け指標です。

 NRI-JHは、筆者が最も好む?指標の一つです。簡便に扱えるという点、そして何より、日本人版指標というのがいいですね(日本贔屓)。

 但し、これら栄養指標を勉強すればするほど沼であり、またそれぞれのメリットデメリットが浮き彫りとなりました。

 GNRIとNRI-JHでは、占う予後が感染症かCVDかで違うというのです。同じ栄養を見ているようで、実は違う。というのは驚きでした。その為、一つの指標だけで管理をする事は、筆者は良しとはしていません。俯瞰するべきと考えます。

 栄養を考える上で食事の内容やその傾向を掴むことも、患者管理では重要です。その為の指標というものも途中で出会いました。

 世界は広い。食欲にまで指標があることに、筆者は感動を覚えました(現職では結局アンケート取れませんでしたが)。

 GLIM基準についての記事も書いてはいますが、これはどちらかというと病棟などでの指標になるので、ここでは割愛します。

 栄養に関して、一昔前に外せない話題としてはアルブミンがあります。しかし、今となってはもう古い考えと言っても差し支えないでしょう。

 上記記事は、筆者の所感や資料・論文等を引用した上での考えを纏めた記事になります。エビデンスになる訳ではないので、「ふ~ん」程度に読んでいただければ幸いです。

 こんな感じで、この一年、栄養も多岐に渡り論じてきました。

 栄養領域に関しては、中々好評だったようで反響もぼちぼち頂いております。ブロガー冥利に尽きます。

 データの向こうを俯瞰する

 序盤でも論じましたが、この二大分野、どう頑張っても本来は技士の出る幕はありません。

 僕らは看護師ではなく、腎不全看護や看護計画は立てれませんし、管理栄養士のような指導も出来ません。

 しかし、その代わりと言ってはなんですが、我々臨床工学技士は数字-データに強みがあります。なので、解析を一手に担い、患者管理に貢献することが出来ます。

 しかし、何でもかんでも解析だけすればいい。という訳ではありません。

 解析をするということは、数字を通して患者を診るという事に他なりません。

 筆者は患者との大量の会話を通して食事の内容や指導、行動変容を目指して接していました。しかし、それらをするためにはやはり知識が必要です。

 なので、筆者はこの1年、大量のインプットを行ってきました。しかし、インプットだけをしても知識は中々身につきません。なので、ブログを通して知識の普及啓発活動に勤しんできました。

 その甲斐があってか、読者の方々からもぽつりぽつりと反応を頂くことがあります。嬉しい限りですね。

 筆者以外にも、患者ファーストとして、さらに患者と節度を持った傾聴や共感が出来る技士が誕生することを、このブログを通して切に願います。

あとがき

 このブログを立ち上げて早2年。なんと記事総数も134になりました。ここまで長かったな~…。

 これも自分の興味の為せる業ですな。あとはちょっとだけ応援のおかげ(笑)

 けどこのブログのおかげで繋がった技士の方々も居まして、とても光栄なことです。ありがとうございます。

 アフィリエイトとしては成り立っていないので、本当趣味ブログです(笑)

 そんなこんなですが、これからも読者の方々に期待に応えるべく、様々な情報発信をしていこうと思います。よろしくお願いいたします。

 では今回もここら辺で。あでぃおーすノシ

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