さてさて、新人諸君はそろそろ仕事の段取りも掴み始め、こんな風に仕事をすればいいのか!と気付き始める時期でしょう。
そして2年目になった元1年生は、もしかしたら後輩が出来たことで、少し違った意味での緊張感に包まれながら仕事をこなしている事でしょう。
3年生にもなると、もしかしたら新1年生の教育係として、プリセプターを任せられるかもしれません。
そんな中、皆さんはどの業務に就いているでしょか?血液浄化かな?人工呼吸器メイン?それとも心カテ、人工心肺?もしかしたら変わり種として内視鏡をしている技士もしるかもしれませんね。
今回は、そんな皆さんのキャリアロードマップ(認定士編)をお届けしようと思います。
あくまで一例にすぎませんが、それでも、目標を以て業務に取り組むこと自体は悪い事ではないかもしれません。
この記事では、臨床工学技士として新人から専門職・研究者へと成長していく具体的なキャリアパスを紹介します。
● どんな認定資格があるのか
● 何年目でどんな挑戦ができるのか
● 専門職や大学院進学という選択肢 …など
さ、では早速行きましょう。キャリアの世界へようこそ。
臨床工学技士の臨床キャリアに限った例え話
さて、医療従事者というのは、基礎になる免許を取った後、数年すればその上位認定とも言える、各分野の認定資格を取得することが出来ます。ここでは資格取得の必要不要論はさて置きます。
まず1~2年目までは、各施設のローカルルールや各業務の基礎を習得することに重点が置かれます。まだひよっこ同然ですからね。外野から見ればプロでも、同業者から見ればひよっこですから。
そして基本的には3年目になると、各種認定の受験資格が付与されますよね。これはその施設で、当該業務を通年してこなしていた場合に限ります。
筆者にとっては、3年というのはとても長い年月ですが、一般的にはそうでもないのでしょう。
無事、認定資格を取得したとして、其の後はその知識を生かしつつ、学会発表や技士会などの対外活動に精を出す方もいるでしょう。

そして5・6年目からは、条件さえクリアしていれば、日本臨床工学技士会が主宰する各種「専門臨床工学技士」を目指す方が出てくる時期です。
2025年6月現在、臨床工学技士が目指せる最高峰のキャリアに関しては、この「専門臨床工学技士」取得か、もしくは大学院進学の上で、博士後期課程を修了し、博士号を取得する。というロードマップが思い描かれます。
具体的なミクロロードマップは?
さて、上では大雑把なロードマップをご紹介しました。大体免許取得後、臨床向けに10年程を想像しています。
では実際に臨床工学技士が免許取得後に取得できる認定資格や専門資格は何があるのでしょうか。それをご紹介したいと思います(順不同)。
学生のうちから取得可能な資格
- 医療情報機器情報コミュニケータ:MDIC
- 心電図検定各級
- 第2種ME技術者
臨床2年後から申請可能な資格
- 臨床ME専門士
- 消化器内視鏡技士
臨床3年目から受験可能な資格
- 透析技術認定士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 体外循環技術認定士
- 心血管インターベンション技師
- JHRS認定心電図専門士
- 植込み型心臓不整脈デバイス認定士
- CDR認定士
- 認定血液浄化臨床工学技士
- 認定集中治療臨床工学技士
- 認定医療機器管理臨床工学技士
臨床5年目から受験可能
- 専門呼吸治療臨床工学技士
- 専門血液浄化臨床工学技士
- 専門手術臨床工学技士
- 専門不整脈治療臨床工学技士
- 専門心・血管カテーテル臨床工学技士
- 専門高気圧酸素治療臨床工学技士
- 専門内視鏡臨床工学技士
- 集中治療専門臨床工学技士※
これとは別に、
- 卒後すぐ大学院進学を行い、修士課程を修了後、臨床へ出る
という選択肢も存在します。
また、社会人大学院生という道もあり、博士課程への進学も残っています。
※集中治療専門臨床工学技士について
この専門臨床工学技士だけは、医師が主宰する集中治療医学会が認定している、少し風変りな資格になります。但し、そこは医学会なだけあり、診療報酬などの面で強さを発揮します。症例報告なども必要なため、取得難易度は高いですが、その分泊が付くことは間違いなしです。

認定・専門を取得する際の注意事項
第二項では、各種認定や専門臨床工学技士についてご紹介しました。
これらを取得するにあたり、実はというか、少し注意が必要です。
というのも、これらの認定は「該当業務に〇年従事している事」が必須要件となっているからです。また、一部認定には症例数なども必要となってきます(ITEや体外循環技術認定など)。
「この業務を極めたい!!」「この分野についてもっと深く学びたい!!」という場合に、その登竜門として各種認定は存在する訳ですが、これらを受験するためには意外にも計画的に数年という時間が必要になるため、意識して業務に取り組む必要があります。
専門臨床工学技士については、日本臨床工学技士会に継続して5年間、会費を滞納することなく入会していることが必須となります。
また、認定取得後も計画的な運用が必要となります。
大体の認定が、「〇年で〇ポイント取得後、更新」という時限式を取っています。
その為、救済措置はあるとはいえ、しっかりと自己学習の為にも母体学会への年1回の参加、ないし学会発表や論文投稿などは必要となります。
ここで示した以外にも道はある
今回は臨床工学技士の臨床現場におけるキャリアパスについてお話してきました。
しかし、我々臨床工学技士は「医学」と「工学」のハイブリッドさ故に、その活躍の場は何も医療現場にはとどまりません。
メーカーもあればディーラーもあり、研究職もあれば製造業、営業職もあるのでしょう。勿論、後進育成のために教鞭をとるという道もあるでしょう(これには修士号以上や臨床経験〇年以上などがありますが)。
故に、一つに囚われず、色々な視点から未来を思い描いて欲しい。というのが筆者からの願いです。
あとがき
ささ、今回は新人~3年目向けの記事内容となりました。
臨床工学技士ってとても不思議な職業なんですよね。なんというか、どっちつかずな資格です。何がしたいのか。国も何をさせたいのかがはっきりしません。
法律を制定したのは国なわけですから、その運用方法や報酬体系などにも責任を持ってほしいものです。それを職能団体からの上申という形に頼っているから、何時まで経っても僕ら臨床工学技士に診療報酬という日の目が当たらないんです。果たしてこれは、僕らがアピールしなければならないのでしょうか??という疑問を筆者は持っています。皆さんは如何でしょうか。
これらを解消するために、日本臨床工学技士連盟が存在する訳ですが、日本臨床工学技士会同様、どうしても団体としては弱く感じてしまいますね。臨床工学技士はまだ誕生して36年。若い組織です。
さて、政治的な話はあまり好ましくないので、ここら辺でお終いにしましょう。
という訳で、今回は臨床工学技士のキャリアパスについて解説しました。
ご質問などありましたら、遠慮なくご連絡ください。
ではまた~ノシ
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