BAPとは?骨形成マーカーと透析の関係

CKD-MBD

 おはこんばんちはなら~。

 さて、前回骨代謝マーカーとしてTRACP-5bをご紹介しました。

 この記事の中で、一瞬ではありますが「BAP」という単語が出現します。

 実はこいつも骨代謝マーカーなんですね。

 けど骨代謝の何を診るのか?が良く分かりませんよね。

 という訳で、続いての解説はこの「BAP」について!

 では行きましょう!!骨代謝回転の世界へようこそ!

1.骨の「作る力」を測る指標

 透析患者さんでは、CKD-MBDの兼ね合いから骨折リスクが高まることがよく知られています。
 その背景には「骨を壊す(吸収)」と「骨を作る(形成)」のバランスが崩れる CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)が存在します。

 前回取り上げた TRACP-5b が「骨吸収マーカー」だとすると、今回の BAP(骨型アルカリホスファターゼ) は「骨形成マーカー」の代表格。
 「骨を壊す力」だけでなく「骨を作る力」を知ることで、骨代謝の全体像が見えてきます。

2. BAPとは何か?

  • 正式名称:Bone-specific Alkaline Phosphatase(骨型アルカリホスファターゼ)
  • 由来:骨芽細胞から産生され、骨形成の過程で血中に放出される
  • 特徴
    • 骨芽細胞の活動を反映する
    • 腎排泄の影響を受けにくい(オステオカルシンや P1NP とは異なる利点)
    • 血清 ALP の中で「骨由来のみ」を測定可能(肝臓 ALP との区別が可能)

3. 臨床での活用

  • 骨形成の指標
    骨粗鬆症の診断・治療モニタリング(テリパラチド、ビスホスホネート等の効果判定)
  • 代謝性骨疾患の評価
    骨軟化症、Paget 病、腫瘍性骨疾患の骨形成活性を把握
  • 安定したマーカー
    腎機能低下の影響が少ないため、CKD 患者でも解釈がしやすい

4. 透析患者におけるBAPの意義

 透析患者における骨病変は「高回転」「低回転」に分かれます。
 BAP は骨形成を直接反映するため、iPTH や TRACP-5b と組み合わせることで骨回転性を推定できます。
 基準値は以下の通りです。1)

  • 男性 3.7~20.9 μg/L
  • 閉経前女性 2.9~14.5 μg/L
  • 閉経後女性3.8~22.6 μg/L

 また、基準値の上下により、骨代謝回転は下記の様に解釈去ることが出来ます。

  • 高回転骨:PTH ↑、BAP ↑、TRACP-5b ↑
  • 低回転骨:PTH ↓、BAP ↓、TRACP-5b ↓

 特に「アダイナミックボーン(低回転骨)」の見極めに BAP が有用とされます。透析患者では骨吸収抑制薬の過剰投与で低回転に傾くことがあり、その早期発見に役立ちます。

5. ガイドラインでの位置づけ

  • KDIGO 2017
    • 血清 PTH と BAP の測定は、骨回転性を推定する上で有用と明記
    • 非常に高い値/非常に低い値は骨ターンオーバーの予測に役立つ
  • JSDT ガイドライン
    • BAP は腎機能低下患者でも使いやすい骨形成マーカーとして有望視
    • 透析患者の CKD-MBD 管理における補助的な指標とされる

6. まとめ

  • BAP は 骨形成マーカーであり、腎不全患者でも解釈が比較的容易
  • TRACP-5b(骨吸収)と組み合わせることで「骨形成」と「骨吸収」の両面から評価可能
  • KDIGO・JSDT ともに骨回転性の推定に有用と認めている
  • 透析患者において「高回転 vs 低回転」の判別に役立ち、治療選択の一助になる

あとがき

 さて、今回は骨代謝マーカーであるBAP:Bone-specific Alkaline Phosphatase(骨型アルカリホスファターゼ)をご紹介しました。

 いや~骨代謝回転の世界は奥が深くて、TRACP-5bとBAPの話はしましたが、実はこれ、入り口にさえ立っていないんですよね。

 骨代謝回転の世界はこれからが本番です。お楽しみにしてください。

 という訳で、今回はこれくらいにしたいと思います。

 では!あでぃおーすノシ

1)骨型アルカリフォスファターゼ(BAP):総合検査案内

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