透析における栄養指標~CGRn:標準化クレアチニン生成率~

栄養関係

おはこんばんちわなら!!

やってきました栄養指標シリーズの復活です!

今回は前回ご紹介したCGRn:標準化クレアチニン生成率について、Excel関数式で表してみよう!という記事です!

日々臨床業務に追われ、なかなか患者データの評価が出来ないという皆さん!!

一発Excel関数式を作ってしまえば、あとは自動です!!

さぁデータ管理沼へ!!

では行きましょう!!栄養指標シリーズの世界へようこそ!

まずは計算stepの復習

前述の記事内でも触れていますが、このCGRn:標準化クレアチニン生成率は計算過程がとてもややこしいです。

ではそのstepを解説します。

1️⃣ URRまたはspKt/VからeKt/V_ureaを算出
これはspKt/Vと言っていますが、他のKt/Vでも構いません。実際、論文中でもDaugirdas先生は、自身の開発した公式でも構わない。という事を言っています。
Kt/Vを算出していない施設は、除去率を用いて推定Kt/V_ureaを出してください。


2️⃣ eKt/V_urea × 0.71 → eKt/V_creatinineを得る
ここで、BUNからCrの推定Kt/Vへと変換します。


3️⃣ Watson式からVCR(クレアチニン分布容積)を推定※必ずしも必要ではない
ここは透析であれば無視しても構いません。何故なら、理想体重というのはDWであり透析後体重だからです。その為、VCRはそのままIBWを用いても問題はありません。


4️⃣ 残腎機能(KRCR)がある場合は、補正式でC0’を求める
残腎Cr-CL(Residual Kidney Clearance of Creatinine)は、まだ自尿が出る患者さんに対して適応する式になります。
これは、無尿の患者さんを想定している為、100%体内にCrが貯留していないと、CGRnが低く見積もられてしまう事を防ぐための補正です。


5️⃣ 透析日の曜日に応じた式でCGRnを算出※つまり、中2日か中1日か
これが、Daugirdas先生がとても優しいために、週3回の施設透析を行う我々の為に作った式です。月火、水木、金土のそれぞれに対応した式が存在しており、論文中には3つの公式が紹介されています。


6️⃣ 結果をmg/kg/day単位に変換
これはstep5ですでに実施済みなので、意識して単位変換をする必要はりません。

Excelに落とし込む

さて、上記の6stepを踏まえた上で、これからExcel関数に落とし込む方法をお見せします。

これはあくまで筆者が使っているデータ管理用スプレッドシートでの参照なので、読者の皆さんは、それぞれを自分の環境に合わせてカスタマイズしてくださいね。

では行きましょう。

元となるデータsheetを用意する

筆者は以下の様なsheetを1ファイルに用意しています。

左から、主に

  • 検査統計:主要採血項目を見るsheet
  • KtV,nPCR : 透析効率であるKt/V-2nd Daudirdas , nPCR , TAC-BUNを計算するsheet
  • %CGR : %クレアチニンインデックスの計算sheet
  • GNRI:栄養項目であるGNRIの計算sheet
  • NRI-JH:こちらも栄養項目であるNRI-JHの計算sheet
  • CGRn:これが今回の目玉である標準化クレアチニン生成率の計算sheet
  • 栄養score:nPCR , %CGR , CGRn , GNRI , NRI-JHを纏めて表示するようのsheet。
  • anemia:貧血だけを評価するsheet

と、8sheetを毎月駆使してデータ管理をしています。

で、今回の主役はCGRnなんですが、参照sheetはNRI-JH以外の全ての計算sheetになります(要するに「検査統計」「KtV,nPCR」「%CGR」「GNRI」の4sheetですね)。

必要な参照項目は何か?

CGRnのsheetで筆者が使っているのは、下記のセルたちになります。

  • B列:自尿の有無。TRUEかFAILかをここで判断します(自尿があればTRUEとしてレ点チェックします)。
  • C列:透析治療時間。単位は【分】。参照元はKtV,nPCR sheet。
  • D列:透析前Crのデータ参照列。J列はここを参照。数値参照元は検査統計sheet。
  • E列:透析効率参照列。参照元はKtV,nPCR。
  • F列:身長。単位は【cm】。参照元はGNRI sheetです。
  • G列:透析後体重参照列。参照元はKtV,nPCR sheetです。
  • H列:対象年齢。参照元は%CGR sheetです。
  • I列:性別参照列。これも参照元は%CGR sheetです。
  • J列:CGRn算出列。ここに計算結果を表示します。
  • K列:推算腎クレアチニンクリアランス計算列。自尿がある人は、J列がここを元に計算します。

というわけで、必要な参照項目は上記9項目になります。

透析管理システムがある場合には、データをダウンロードすれば簡単に揃えられますが、筆者の施設にはそんないいものはありません。なので、全て手と足でデータを揃えています。

実際の関数を見てみよう

筆者はJ列の一列で全てが完結するように関数を組んでいます(と言っても書いたのはほどChat GPTですが)。

では中身を見てみましょう。

=LET(
  flag, B2,              /* 1=残腎あり, 0=なし */
  C0,   D2,              /* 透析前Cr (mg/dL) */
  W,    G2,              /* 透析後体重 (kg) */
  sp,   E2,              /* spKt/V (urea) */
  Tm,   C2,              /* 透析時間 (分) */
  KRml, K2,              /* 残腎CrCl (mL/min) */

  /* Step 2: eKt/V_urea(Tattersall, T=分) */
  eU,   sp * (Tm/(Tm+30.7)),

  /* Step 3: eKt/V for creatinine */
  EKCr, 0.71 * eU,

  VCR,  W,                       /* 分布容積=体重 */

  /* r = KRCR / VCR (min⁻¹)※KRCRをL/minへ直す */
  r,    (KRml/1000)/VCR,

  /* 原著の C0′(長い式, Step 5)*/
  C0p,
    0.96*EXP(
      0.0982821 - 2.578322*r + 0.987112*LN(C0) - 0.77911*(EKCr*r)
    )
    *(-2.4264*r^2 + 0.9407*r + 0.9843)
    *(-2.5485*r^2 + 1.4794*r + 0.1711),

  /* 残腎フラグで C を選択(0: C0, 1: C0′) */
  Csel, IF(flag=TRUE, C0p, C0),

  /* 週初め採血の CGRn を出力 */
  Csel / (0.6846 * (EKCr ^ (-0.398)))
)

まるでプログラミングのような関数式ですが、その正体?は、これがLET関数で書かれているからです。

対応するExcelはExcel365/2021以降となります。

LET関数は

=LET(名前1, 値1, 名前2, 値2, ..., 計算式)

となります。つまり、LET関数は「数式の中で変数を定義して再利用できる」仕組みを提供します。

順番に読み解くとこうなります:

  1. 名前1値1 を代入
  2. 名前2値2 を代入
  3. …最後の 計算式 で、それらの変数を使って処理

となります。IFなどの関数を使ってネストを多用してしまうと、メンテナンスがし辛くなるという弱点がありますが、上記の様にプログラミング言語のように記述出来ると、一目でわかるというメリットがあるのがLET関数です。

関数の説明はこれくらいにしておきましょうか。

必要なステータスを用意し、検査項目も揃えれれば、あとは関数が自動で計算をしてくれます。

上記のサンプルコードをコピペしてセルに挿入してもらえれば、簡単にCGRnを動かすことが出来ます。
※サンプルコードにあるコメントは削除してください。Excelがエラーを出します(笑)

今回は以上でCGRnのExcel関数記事は終了です。

あとがき

さて皆さんいかがでしたでしょうか。

今回は新たな栄養指標として期待されるCGRnについて、その実装手順をご紹介しました。

Daugirdas先生にはこの場を借りてお礼申し上げます。

皆さんは普段どんな感じで患者管理に当たっていますか?

筆者は上記の様なスプレッドシート構成で、毎月の採血を集計算出し、スタッフと共有しています。意外にも現施設では、看護師を始めスタッフからは好評なのでこれからも続けていこうと思います(ドクターはOut of 眼中ですが)。

この記事が皆さんのお役に立つことを願っております。

では今回はこのへんで。

また次回お会いしましょう!!

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