サイトカインとは何か?|免疫の仕組みとサイトカインストームをわかりやすく解説

自己紹介

さてさて、前回執筆した記事にて、「サイトカイン」という言葉が出てきました。

この記事を出した直後、読者から「サイトカインってそもそも少ないのに、それを除去する意味ってあるんですか?」という質問が飛んできました。

(僕がこの論文書いたんじゃないから、そんなケチ付けられても…)とちょっとだけ思いながらも、色々とやり取りしてたんですが、そこでふと「そもそもサイトカインってなんだっけ?」という、基礎的な疑問が浮かびました。

これはいいテーマだ!と思い、今回も筆を執っています。

サイトカインって、パッと聞くと「炎症の元!」というイメージですが、実際の役割は免疫細胞同士の情報伝達物質です。

では何を伝達しているのか?そして何故それが「サイトカインストーム」と呼ばれるのか。

それを説明していければと思います。

では行きましょう。サイトカインの世界へようこそ。

この記事でわかる事(Take-Home-Message)

  • サイトカインは免疫細胞同士の情報伝達物質
  • サイトカインにもグループがある
    • ①炎症性サイトカイン(pro-inflammatory)
    • ② 抗炎症性サイトカイン(anti-inflammatory)
    • ③ ケモカイン(chemokine)
    • ④ インターフェロン(IFN)
  • サイトカインストームは炎症性サイトカインが制御不能に過剰放出される状態

はじめに

さて、僕ら臨床工学技士がサイトカイン~という話をするときは、大体PMX-DHPを施行する時ではないでしょうか。

PMX-DHPのターゲット自体はエンドトキシン(Endtoxin)であります。ここで気を付けたいのは、エンドトキシンはサイトカインではない。ということです。

では肝心のサイトカインとはなんなんでしょう。

言葉の由来

サイトカインは英語名:CytoKineと書きます。

その由来は、ギリシャ語の

Cyto:細胞

Kine:動き・作動物質

から来ています。

サイトカインには種類がある

サイトカインの本来の役割は免疫細胞同士の情報伝達物質にあります。

そしてその情報伝達物質にはいくつか種類があります。

①炎症性サイトカイン(pro-inflammatory)

皆様お馴染みの【炎症性】サイトカイン。その代表格と特徴をご紹介。

代表:

  • IL-1β
  • IL-6
  • TNF-α

特徴:

  • 発熱(IL-1, IL-6)
  • CRP上昇(IL-6)
  • 血管透過性↑ → 浮腫・血圧低下
  • 凝固活性化(DICに関与)

👉 感染初期の「戦闘開始ボタン」

② 抗炎症性サイトカイン(anti-inflammatory)

お次は【抗炎症性】サイトカインをご紹介。

代表:

  • IL-10
  • TGF-β

特徴:

  • 炎症抑制
  • マクロファージ活性抑制
  • 免疫の過剰反応をブレーキ

👉 暴走を防ぐ「制御装置」

③ ケモカイン(chemokine)

お次は【ケモカイン】をご紹介。「サイトカイン」と書いてないじゃないか!!と言われそうですが、先にも書いた通り、サイトカインの役割は免疫細胞同士の情報伝達物質です。そのカテゴリーに【ケモカイン】も入るという訳です。

代表:

  • IL-8(CXCL8)
  • MCP-1

特徴:

  • 好中球・単球を炎症部位へ誘導
  • 「どこに行け」というナビゲーション役

👉 免疫細胞のGPS

④ インターフェロン(IFN)

お次は【インターフェロン】。これもケモカインと同様の理由で仲間入りです。

代表:

  • IFN-α / β(抗ウイルス)
  • IFN-γ(細胞性免疫)

特徴:

  • ウイルス複製抑制
  • NK細胞活性化
  • マクロファージ活性化

👉 ウイルス戦専用の司令官

という様に、【サイトカイン】にも種類があるんですね。

ではサイトカインストームとは?

概念

炎症性サイトカインが制御不能に過剰放出される状態を【サイトカインストーム】と定義しています。

サイトカインストームが発生する機序は、凝固線溶系と同じくらい混迷を極めます。

発生機序

① 病原体侵入(細菌・ウイルス)

② マクロファージ・樹状細胞が活性化

③ TNF-α・IL-1・IL-6大量放出

④ 血管透過性↑・免疫細胞大量動員

⑤ さらにサイトカイン産生が増幅(正のフィードバック)

⑥ 抗炎症機構が追いつかない

全身炎症暴走(サイトカインストーム)

💥 何が起きるか(臨床的本質)

  • 血管拡張 → 血圧低下によるショック状態
  • 血管透過性↑ → 肺水腫・ARDS
  • 凝固異常 → DIC
  • ミトコンドリア障害 → 多臓器不全

👉 敵より「自分の炎症」で死ぬ状態

透析・臨床工学視点でのポイント

ここがかなり重要👇

✔ 透析患者との関連

  • 慢性炎症状態(IL-6高値)
  • バイオインコンパチビリティ(膜・回路)
  • エンドトキシン曝露

✔ サイトカイン除去

  • PMMA膜(吸着)
  • AN69ST(サイトカイン吸着)
  • CHDF / 血液浄化

👉 「炎症のコントロール=予後改善」につながる領域

最後にある通り、炎症≒サイトカインであり、それを制御する事が、AKI/CKD患者の予後延長に繋がる。という訳です。

最初に書いたフォロワーからの質問にも、【風が吹けば桶屋が儲かる】といった風に答えに成ればと思います。

🔑 まとめ(本質だけ)

  • サイトカインは「免疫の言語」
  • 炎症系と抑制系のバランスが命
  • サイトカインストームは正のフィードバック暴走
  • 臨床では「炎症の強さ」ではなく
     👉 制御できているかが重要

あとがき

というわけで、今回は少し急性期寄りのテーマである【サイトカイン】についてご紹介してきました。

ただ、最後にも書いた通り維持透析も慢性炎症による総合デパートのような状態であり、如何に炎症を制御化に置くか。というのは長年のテーマの一つでもあります。

それこそ、炎症は低栄養や貧血の遷延を引き起こしたり、そこからフレイル・サルコペニアに発展し、PEWの状態を形成するわけです。なので、少々のサイトカインくらい…と看過することは出来ないのが現実です。

こんな説明で如何でしょうか。ご納得いただければ幸いです。

という訳で、今回の記事はここまで。ご笑覧ありがとうございました。

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