慢性腎臓病から透析へ~透析とは Part2~

血液浄化

 さて、今回は一般の方向け透析記事の第二弾。

 前回は、まず今の透析はどういったものなのか?2023年末のデータを用いて説明しました。

 では次は、「透析とは何をするのか?」に焦点を当てて解説していきましょう。

 透析導入を控える方は、透析をするために施設見学を行ったりします。そこで、ベッドで横になり、機械に繋がれた患者さんをみて、もしかしたら「怖い」「気持ち悪い」と感じる方もいるかもしれません。

 しかし、それは必要なことであり、何も怖い事はない。という事を、説明し理解して頂ければと思います。

ではようこそ。透析の世界へ。

透析とは?~準備編~

 「透析」と聞くと、一般の方が思いつくのは

  • 「食事制限がきつくなる」
  • 「自由が無くなる」
  • 「仕事を辞めなければならない」

 などのネガティブワードではないでしょうか。

 その為に、透析導入を最後まで拒み、緊急導入という形で慌ただしく透析を始めてしまう方も中にはいます。

 しかしほとんどの方は、主治医と相談しながら、しっかりと透析に備え、半年~1年ほどの期間をかけて透析に対する身体的(内シャント:透析用の血管を作る手術)・行政的(身体障碍者手帳の申請や取得)準備を進めていきます。

 そしていよいよ、採血や体の調子の結果を鑑みて、主治医から「では透析を始めましょう」と言われると思います。

 さて、では実際に透析を始めると何が起こるのか?それを次はご説明したいと思います。

透析とは?~実践編~

 透析とは、正式名称を「血液透析:HemoDialysis(HD)」と言います。

 治療時間はいくつかバリエーションがあり、最短3時間~最長で8時間と幅があります。

 透析時間は、

  • 患者さんがまだおしっこが出るのか。
  • 食事はどれほど摂れているか。
  • 疲労度は問題ないか。
  • 合併症は問題ないか。
  • 採血結果は問題ないか。

 を勘案して決定します。

 ここで気を付けていただきたいのが、透析時間が長い事は、決して病状が悪いという事ではないという事です。

 寧ろ、透析時間が長いことは、透析患者さんの余命を延長することに寄与するということです。その為、我々透析医療従事者は、最低でも4時間。必要であれば長時間透析と言われる6時間透析を推奨することもあります。勿論、自分から勉強した上で6時間を望む患者さんも中には少数ですが居られます。

 さて、前置きが長くなりましたが、では実際に透析とは何をしているのでしょうか。それをご説明したいと思います。

 上記の記事はあくまで新人医療従事者向けに書いた入門用専門記事ですが、興味のある方はご覧ください。

 血液透析は、腕に針を2本刺し、本来であれば自然にするはずのおしっこを、人工腎臓(=ダイアライザー)を介して作る治療です。そして、おしっこに含まれる体の中のゴミ(=老廃物)を除去します。

 

 この画像は協和キリンさんから提供されている血液透析説明画像です。

 この画像の様に、透析は腕に二本の太めな針を刺し、体外へ1分間に200mL前後の血液を出し、人工腎臓(=ダイアライザー)で血中にたまったゴミ(=老廃物)と水分(=尿)を体の外に出していきます。

 これが人工腎臓:ダイアライザーです。

 但し、本来であれば24時間365日、休まず働いているはずの腎臓の代わりを4時間ほどで行うことは、身体に大きな負担を掛けることになります。

 透析は先に述べたように、4~8時間を週3回行います。つまり、1日空き(=48時間)と2日空き(=72時間)で腎臓の機能を代行することとなります。

 人間は、1日に1500mLの尿を排出します。無尿(=おしっこが出ない状態)になれば、これがほぼ丸々体にたまることになります。24時間で1500mLであれば、48時間で3000mLの水分が体に溜まることになります。汗や便などでも水分は出ますが、やはり尿ほどではありません。

 透析を始めると「自由が無くなる」「食事や水分制限が厳しくなる」「旅行やお出掛けが出来なくなる」と思われがちですが、実際にはこの反対です。

 透析をすることで、身体に溜まった水分を除去し、ゴミを取ると、患者によっては倦怠感が無くなり、身体が楽になった。という方が多いです。その為、食欲も戻り、しっかりと食べれるようになります。

 透析開始時、一時的に体重が減少するように見えますが、これは体の中にこれまで溜まっていた余分な水分を透析で除去(=除水=尿を作る)することによる減少なため、安心してください。本当の体重へと、透析療法により戻しているに過ぎません。

 食欲が戻ることにより、しっかりと食事をとることが出来るようになれば、体力を付けるために軽い運動(散歩など)も出来るようになり、透析を始める前より、より健康的な生活を送ることが可能となります。

合併症は??

  透析、もとい腎臓病というのは様々な病気が原因でなってしまいます。例えば糖尿病や高血圧なんかがそうです。

 ただ、これらからくる合併症というのはすぐには姿を現しません。

 合併症については、専門家視点でいくつも記事を書いていますので、そちらをご覧ください。

 まず透析を始めて最初に出会う合併症は、我々が「透析不均衡症候群」と呼ぶものです。

 これは何かというと、症状は頭痛、嘔気、嘔吐、目まいなどです。

 なぜ起こるかというと、体の中のゴミは通常、尿として排泄されますが、それが溜まっていたところに、透析によりゴミを捨てることにより、それまでゴミがあることが普通と錯覚してバランスを保っていた体が、血液中からゴミが無くなることで、体中から血液中にゴミを補充しようとする働きが起こります。これを我々は「浸透圧の維持」といいます。

 但し、これにも対処方法はあり、グリセリンなどの高浸透圧製剤を透析と同時に使うことで、症状を緩和することは可能です。

 最初の数回、この透析をすることによる気分不良が出る方はまれに居ますが、筆者は現時点で15年透析に従事していますが、片手ほどもこの症例に出会ったことはありません。

 なので、これから透析を始める方は、安心して透析を受けていただければと思います。

まとめ

 では今回のまとめです。

  • 主治医と相談の上で、半年~1年ほど前から心身や行政的な準備を。
  • 透析時間が長いことは悪い事ではない(寧ろいい面の方が多い)
  • 透析を始める前と後では、食事制限は全く違う。始めた方が楽までもある。
  • 透析を始めた方が、より健康的で活動的(=自由)な生活が可能になる。
  • 合併症はどうしても付きまとうが、必ずではない(長期的な合併症はちょっと別)

 とまぁこんな感じです。

あとがき

 さてさて、今回も患者さんやその家族の方に向けた記事として、透析導入編を書かせていただきました。

 少しは不安や心配を解消する一助に成ったでしょうか?

 我々医療従事者は、広い意味で患者の悩みや心配事を解消することも仕事の一つです(と筆者は思っています)。

 その為、患者さんが持つ透析に対するネガティブなイメージを、少しでも解消し、前向きになってもらえたらと思い、筆を執っています。

 もし何か分からない事や生活でのあれこれなどもあれば、お問い合わせいただければと思います。

 それでは今回はここらへんで。まったねー。

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