今回は透析では欠かせないリン吸着薬について書いてみようかと思います。
相変わらず薬剤に関しては避けて通ってきた筆者ですが、どこまで詳しく解説出来るでしょうか。
乞うご期待。
では行きましょう。リン吸着薬の世界へ。
リン吸着薬の歴史
リン吸着剤の歴史は割と長く、実用化は1970年代には始まっています。その当時は制酸剤としてのアルミニウム(Al)製剤が広く普及していました。Al製剤は強力なリン吸着作用を有する優秀な薬剤に思えました。しかし、普及と共にAl脳症、Al骨症等の中毒症状が問題となり、92年には透析患者への使用が禁忌となりました。
その後、沈降炭酸カルシウム(炭カル)がP吸着薬として臨床応用されますが、やはり、Caの過剰負荷が問題となりました。
ここで薬剤の命題として非Alかつ非Ca含有のP吸着薬の登場が待たれることになります。そして薬剤は金属タイプとポリマータイプに分かれることになります。
2003年にはセベラマー塩酸塩等のポリマータイプが、そして2009年には希土類であるランタン(La)を用いた炭酸La製剤が登場します。しかし、前者では便秘を主とする消化器症状の問題が、後者ではモニタリングできないまま骨などに長期蓄積することが報告されており、やはり、新たなリン吸着薬の開発が望まれました。
炭酸La製剤の発売と同時に、クエン酸第二鉄の第II相臨床試験が実施されていました。そして効果が確認されたことにより第III相試験、長期投与試験を経て、2014年にP吸着薬として世界に先駆けて国内で臨床応用されました。
翌年には、これも金属タイプではあるがスクロオキシ水酸化鉄製剤が登場しました。副作用としては消化管症状(下痢)が22.7%であるが、それ以外にはとくに目立つ副作用もなく、またリン吸着作用も強力であることから、昨今ではメインの吸着薬として使われている。

各薬剤の分類
さて、歴史編を通して7種類の薬剤が登場しました。現在使用することのできる薬剤は6種類になります(後発医薬品は取り扱いません)。
この項ではどういう分類なのか?をテーマに取り扱います。
Al製剤を含め、リン吸着薬は金属タイプかポリマータイプかに分かれることにります。

図1 引用文献2より引用
上記の表の様に、金属タイプとポリマータイプにまず分類されます。そして、金属は可溶性と不溶性に分類されます。人体の微量ミネラルには金属も含まれるため、生体内に存在するかしないかという属性でも分類されるのです。これら全てを勘案して上記の様にI~III型。Ia,Ib,IIa,IIbとなるわけです。
そして、これに準ずる形で作用機序が決まってくるという訳です。
各薬剤の作用機序について
ここではIa~IIb,III型の作用機序別に紹介をしていきたいと思います。では行きましょう。
Ia型:炭酸カルシウム製剤(炭酸Ca®)、クエン酸第二鉄製剤(リオナ®)
さて、Ia型は金属タイプの可溶性であり、また生体内に存在するという意味で生理的作用を有します。
炭酸カルシウム製剤の機序
無機イオン製剤である炭酸カルシウム製剤のリン吸着の原理は、リンと電気的に結合することで不溶性の化合物を形成し、便中へのリン排泄を促すことにあります。
但し、経験のある方も大勢いる事でしょうが、炭酸カルシウム製剤には大きなデメリットが存在しました。それは血中Ca濃度の上昇です。CKD-MBDの概念が登場する20年以上前から問題に上がり、活性型ビタミンD製剤の登場によりCaの吸収はより促進され、SHPTに対する病態生理が理解され始めるころには、よりリスクがベネフィットを上回るのではないかという考えが普及しました。
2025年現在、まだ新CKD-MBDガイドラインは出ていませんが、Calcimimeticsが出た現在では、低カルシウム血症が問題になるため、逆にこのCa上昇を逆手にとって、処方されることが増えてきました。
クエン酸第二鉄製剤(リオナ®)の機序
クエン酸第二鉄製剤は、登場するよりも前には食品添加物として安全性が確認されていました。
しかし、食品添加物としてのクエン酸第二鉄はリン低下作用が小さく、そのままでは実用性に乏しかったのです。しかし、比表面性を大きくすることにより、溶解速度の速いクエン酸第二鉄の登場により上市することになります。
その機序としては、Fe(III)の強力なリン結合作用に着目することで、消化管で食事由来のリンと結合させ、難溶性のリン酸第二鉄として便中に排泄する事でリンの消化管吸収を抑制することにあります。
クエン酸第二鉄はリンと結合することで難溶性リン酸第二鉄として排泄されますが、一部のFe(III)は小腸にある腸管上皮の腸管内腔側細胞膜に存在するduodenal cytochrome b (Dcytb)によって2価鉄に還元された後、金属トランスポーターで あるdivalent metal transporter 1 (DMT1)という蛋白によって腸管上皮細胞に吸収されます。その為、その後、吸収されたFeは共通の排出たんぱく質であるフェロポルチン(FPN)によって血管腔側に排出され、肝臓で合成されるトランスフェリン(Tf)により、骨髄を始めとした利用器官へ運搬されます。この作用により血中の鉄濃度は若干の上昇を伴うことになります。
統計学的有意差はつかないものの、この作用によりESA製剤の若干の減量に繋がるなどの作用も期待されるようです。また、静注の鉄剤のように強制的に鉄補充を行うのではないため、生理的な鉄代謝にも寄与することが出来、感染や炎症にもマイルドではないかとの考えもあるようです。
Ib型:炭酸ランタン製剤(ホスレノール®)
この分類にはホスレノール単剤しか今のところ存在していません。
さて、作用機序ですが検索すればバイエルファーマの基本情報ページがTOPにヒットします。検索エンジンは優秀ですね。
非生理的金属であるランタンですが、その機序はIa型と同様です。La(III)が強力なリン結合作用を有しており、リンと結合することで便中への排泄を促します。公式ページでは、ランタンの吸収率は0.002%未満となり、その僅かに吸収されたランタンも胆汁排泄されます。但し、蓄積の可能性があるとする文献も存在します1)。
吸着効果は非常に強く、塩酸セベラマー(レナジェル®)500mgを力価とした場合の効果は約4倍になります。
数少ないエビデンスのある薬剤であり、特徴としてはリン低下による血管石灰化予防効果の報告があります。但し、副作用として嘔気・嘔吐があるため、使用には患者を選ぶ薬剤となるようです3)。
血管石灰化予防は直接的に患者の生命予後に直結するため、それだけみれば魅力的ですが、、、副作用が辛いですね。服薬指導には苦労しそうです。
IIa型:スクロオキシ水酸化鉄製剤(ピートル®)
IIa型は今のところスクロオキシ水酸化鉄製剤(ピートル®)しか存在していません。
ピートルは難溶性の高分子化合物である多核性の酸化水酸化鉄(III)、スクロース、デンプンによって構成されています。リン吸着製剤はそのほとんどをイオン交換によってリンと結合しますが、ピートルに関してはリンと共有結合するという特徴を持っています。
剤形もチュアブル錠と顆粒剤の2種類があるため、服用はしやすいようです。
力価としては塩酸セベラマー換算で3倍の力価があり、ホスレノールについで強力なリン吸着能を示します。
唯一の懸念点としては、生理的金属なため、体内に蓄積する可能性があることですが、長期データは2023年時点でまだ明らかになっていません。
III型:塩酸セベラマー製剤(レナジェル®など)、ビキサロマー(キックリン®)
このIII型は上述した薬剤とは違い、ポリマータイプの薬剤です。
塩酸セベラマー製剤(レナジェル®、フォスブロック®)
塩酸セベラマー製剤はポリカチオン性ポリマーと言われるもので、概要としては食物から遊離したリン酸イオンと消化管内で結合し、分解・吸収されることなくそのまま糞便中に排泄されることでリンの体内への吸収を抑制するタイプの高リン血症治療薬となります。
詳細な吸着機序としては、消化管内でアミノ基が部分的に陽性荷電状態(NH3+)となり、陰性荷電のリン酸イオン(H2PO4– , HPO42- , PO43-)とイオン結合する。また、アミノ基の窒素原子や水素原子との水素結合もリン酸吸着の機序と考えられています。塩酸セベラマー製剤は水および有機溶媒に不溶であり、吸収されることなくそのまま糞便中に排泄される。
構造としてカルシウム、マグネシウムおよびアルミニウムを含まないため、従来の薬剤による中毒症状や高Ca血症を誘発することが無く、使い勝手のいい薬剤となっています。
リン吸着作用に加え、塩酸セベラマー製剤は血清リン及びCa×P積低下作用、PTH分泌抑制作用、副甲状腺過形成抑制作用、血管石灰化抑制作用、腎保護作用、高代謝回転型腎性骨症の改善作用、コレステロール低下作用を有します。
副作用としては、便秘・便秘増悪、腹痛、腹部膨満、嘔気、消化不良などの消化管症状が認められています。
ビキサロマー(キックリン®)
ビキサロマーは、非吸収性のアミン機能性ポリマーから出来ています。やはり作用機序は塩酸セベラマー製剤と同様で、陽性荷電状態のアミノ基を介するイオン結合及び水素結合により、消化管内でリンさんと結合し、体内へのリン吸収を阻害することで血清リン濃度を低下させます。
ビキサロマーは塩酸セベラマー製剤と比較し、吸湿性が低く、その為膨潤度が小さいために消化管症状が塩酸セベラマー製剤と比較し少ないことが確認されています。副作用が少ないのは使いやすくていいと思う反面、力価が塩酸セベラマー製剤比較で不明な点が厄介と言えば厄介です。
先ほど消化管症状が少ないと書きましたが、出ない訳ではありません。敏感な患者にはあるのでしょう。しかし、その割合もインタビューフォームでは胃腸障害6.8%となっており、その割合も便秘3.8%,腹部不快感・出血性十二指腸潰瘍・出血性胃潰瘍・胃食道逆流性疾患・悪心・嘔吐が0.8%,と極めて低くなっています。吸湿度の低下でここまで副作用が抑えられるのは画期的ですね。
剤形に関しても、カプセルと顆粒の2種類が用意されている為、カプセルが苦手だという患者に関しても顆粒であれば芍薬甘草湯と同じような感覚で服用できるのではないでしょうか。
| 薬剤名 | 主成分 | 作用機序 | Ca負荷 | 主な副作用 | 実臨床でのポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| セベラマー塩酸塩/炭酸セベラマー (レナジェル・ビキノール など) | セベラマー | 腸管内でリンを吸着し、便中へ排泄 | なし | 便秘、鼓腸、嘔気 など | 高Ca血症リスクがある患者で第一選択になりやすい。 食直後服用が基本。 |
| 炭酸ランタン (ホスレノール など) | ランタン | 胃〜小腸でリンと結合し、不溶化して排泄 | なし | 便秘、嘔気、胃部膨満感 | 力価が高く即効性も期待できる。 咀嚼必須の剤形が多く、歯への付着・着色に注意。 |
| ビキサロマー (キックリン) | ビキサロマー | 腸管内でリンと結合し排泄 | なし(むしろCa↓傾向) | 便秘、便硬化、鼓腸 | 便が黒〜緑色になるが、鉄剤ではないことを説明。 高Ca血症例で選択しやすい。 |
| 沈降炭酸カルシウム (カルタン など) | カルシウム塩 | Caとリンが結合し、不溶化して排泄 | あり(高Ca血症リスク) | 高Ca血症、便秘 | 安価かつ力価も高いが、血清Caや血管石灰化に注意。 他のCa製剤との併用時は特にモニタリングが重要。 |
| スクロオキシ水酸化鉄 (リオナ) | 鉄化合物 | 鉄とリンが結合し、不溶化して排泄 | なし | 便黒色化、便秘 | 貧血治療にも間接的に良い影響が期待される場合あり。 便の黒色化は出血ではないことを説明。 |
リン吸着薬の“本当の作用”を理解する:pHとキレート
リン吸着薬はすべて 「腸管内でリンをつかまえて排泄する」という同じ目的 を持っています。
しかし、その“つかまえ方”は薬剤によって異なります。
ここでは読者の方向けに、pH(胃・腸の酸性度) と
キレート(錯体形成) がどのように作用するのかを分かりやすく整理します。
🧲 【1】キレートとは何か?
「キレート」とは、
金属イオン(Ca²⁺、La³⁺、Fe³⁺など)とリン酸(PO₄³⁻)が結合して、溶けない塩を作る反応
のことです。
- ランタン(La³⁺)
- 鉄(Fe³⁺)
- カルシウム(Ca²⁺)
これらはリン酸と非常に強く結合し、
不溶性の複合体(錯体) を形成します。
→ そのまま便に排泄される
→ 血中リンが下がる
という仕組みです。
🌡【2】pHが関係する理由
消化管は部位ごとに pH が大きく変わります。
| 部位 | pH | 特徴 |
|---|---|---|
| 胃 | 1〜2 | 強酸性。金属塩が溶けやすい |
| 十二指腸 | 4〜6 | 徐々に中和 |
| 小腸 | 6〜7 | リン吸着の中心 |
| 大腸 | 6〜7.5 | 残ったリンの吸着 |
薬剤が溶けて“活性化”する環境=pHが重要 というわけです。
ここで注意して欲しいのが、胃のpHが十分でないと、キレート作用が低下してしまう。という現象が存在する事です。胃のpHを上げるのがPPI(プロトンポンプ阻害薬)であり、しっかり論文にもなっています。
【3】薬剤ごとの「pH × キレート」の違い
🔵 炭酸ランタン(ホスレノール)
- 胃の強酸性で La³⁺ が解離しやすく、リンと結合しやすい形になる
- 咀嚼が必要なのは、表面積を増やし胃酸との接触を増やすため
→ 食後が最も効果を発揮する
🔴 スクロオキシ水酸化鉄(リオナ)
- Fe³⁺ はリン酸と非常に強く結合
- pHによる結合力の変化は少ない
- しかし 空腹時は“リンそのもの”との出会いがない → 効果低下
→ 食直後は必須
🟠 沈降炭酸カルシウム(カルタン)
- Ca²⁺ は 中性付近 でリンと結合しやすい
- 胃酸が強すぎると別の塩として溶けてしまい効率低下
→ 食直前〜食直後に効果最大
🟡 セベラマー系(レナジェル・ビキノール)
ポリマー樹脂であり金属ではないため、
pHに影響されにくい。
作用は
- 静電吸着
- アミン基による結合
でリン酸を取り込む。
🟢 ビキサロマー(キックリン)
セベラマーと似たポリマー樹脂系。
pH変化の影響は小さい が、
食後にリンが多く存在するため効果が最大化する。
⭐【4】“食後に飲む理由”が一言で説明できる
pHは薬剤ごとに違いますが、共通点は
「リンが腸にあるタイミング=食事直後が最も吸着効率が高い」
という点です。
各薬剤の服用方法
比較的最近上市したものは顆粒タイプがあったりと、内服しやすくはなりましたが、各薬剤の注意点を書いていきたいと思います。
炭酸カルシウム製剤(炭酸Ca®)
通常、成人には、沈降炭酸カルシウムとして1日3.0gを3回に分割して、食直後、経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
また、2週間で効果が認められない場合には服用を中止し、リン摂取の制限等、他の適切な治療法に切り替えること。
クエン酸第二鉄製剤(リオナ®)
通常、成人には、クエン酸第二鉄として1回500mgを開始用量とし、1日3回食直後に経口投与する。
以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日6000mgとする。
剤形は錠剤タイプのみになります。
また、鉄剤としての効果もあるため、黒色便が出ることがあります。
炭酸ランタン製剤(ホスレノール®)
チュアブル錠、顆粒剤、OD錠(口腔内崩壊錠)があり、嚥下機能などに合わせて選択が可能であります。
通常、成人は初め1回1錠(ランタンとして250mg)を1日3回食直後に服用します。 以後、症状や血清リン濃度の程度により適宜増減されますが、1日最高用量は9錠(2,250mg)とされています。
また、この薬は難溶性なため、10回を目安にかみ砕いて服用してください。
嚙み砕かずに服用するなどした場合、レントゲン撮影で錠剤がくっきりと映ってしまい、混乱の元になります。よく理解して指導しましょう。
スクロオキシ水酸化鉄製剤(ピートル®)
ピートル顆粒分包の承認されている用法・用量は「通常、成人には、鉄として1回250mgを開始用量とし、1日3回食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日3000mgとする。」です。
また、他の薬剤と違い、ピートルに関しては食直前の服用となっている点が注意です。
こちらも、薬剤の成分錠、便が黒くなることがります。という注意書きがあります。
塩酸セベラマー製剤(レナジェル®、フォスブロック®)
通常、成人には、セベラマー塩酸塩として1回1~2gを1日3 回食直前に経口投与する。 なお、年齢、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減する が、最高用量は1日9gとする。
塩酸セベラマーは吸湿性が高いため、湿度を避けて保存の上、服用時もすり潰したり、粉にして飲まずに水またはぬるま湯で速やかに飲み込んでください。となっています。
指導には注意が必要ですね。
ビキサロマー(キックリン®)
通常、成人は、ビキサロマーとして1回500mgを開始用量とし、1日3回食直前に経口服用する。 以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日7,500mgとする。
飲み忘れた場合には、2回分を一気に服用することはせず、スキップするように指導してください。
また、塩酸セベラマーほどではないにせよ、便秘の増悪などもあるため、排便状況には注意が必要です。
| 薬剤名 | 服用タイミング | 指導ポイント |
|---|---|---|
| セベラマー | 食直後(または食直前) | 食事と一緒に腸管内のリンを吸着する薬であることを説明。 食事を抜いたときの対応もあらかじめ確認。 |
| 炭酸ランタン | 食直後 | 咀嚼必須の剤形が多いことを説明。 顆粒は食事に混ぜると服用しやすい。 |
| ビキサロマー | 食直後 | 空腹時投与は効果が下がるため、食事とセットで飲む習慣づけを指導。 |
| 沈降炭酸カルシウム | 食直前〜食直後 | 食事のリンを“つかまえる”イメージで説明。 他のCa製剤との併用状況も確認。 |
| スクロオキシ水酸化鉄 | 食直後(必須) | 空腹時では吸着力が低下。 便が黒くなることを事前に説明し、不安を軽減。 |
薬剤選択に関する情報
各薬剤の選択について、簡単にまとめてみたので、良ければご覧ください!!
| 状況 | 候補となる薬剤 | ポイント |
|---|---|---|
| 高Ca血症がある/血管石灰化が気になる | セベラマー、炭酸ランタン、ビキサロマー、リオナ | Ca負荷の少ないリン吸着薬を優先。 カラム変更や透析処方との兼ね合いも含めて評価。 |
| 便秘が強い | セベラマー以外を検討 | どの薬も消化器症状が出うるが、特に便秘傾向の患者では用量調整や薬剤変更を検討。 |
| コストも考慮したい | 沈降炭酸カルシウム | 安価で力価も高いが、高Ca血症・石灰化リスクと常にセットで考える。 |
| 飲み込みが苦手/嚥下機能が低下 | 顆粒剤・細粒剤のある製剤 | ランタン顆粒、セベラマー顆粒など、剤形の選択もアドヒアランス向上に重要。 |
| 患者が便の色を不安がる | ビキサロマー、リオナ使用時 | 「色は変わるが、出血ではない」「鉄剤の色ではない」など、事前説明が安心につながる。 |
最後に
リンのコントロールは透析患者にとって、生命予後に直結する重要な問題です。
その点を医療従事者は肝に銘じて、服薬指導にあたる必要があります。正しく服用、正しく活用してよい透析生活を送ってもらいましょう。
あとがき
さてさて、随分ハイボリュームというか、縦に長い記事になってしまいました。
ですが、人工透析にとって高リン血症というのは切り離せない合併症の一つであり、腎不全の病態そのものです。
CKD-MBDを理解するうえでも重要であり、それをコントロールするためにも、薬剤の理解は必須かもしれません(そのくせ筆者は13年間逃げてきたわけですが)。
患者さんのデータが悪い。それはコンプライアンスが悪いのか?ならなぜ悪いのか?多剤だからか、剤形が悪いのか。はたまた他に何か原因があるのか。
そういうことも推し量れる力が、CEにも必要かもしれませんね。
それでは今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
長文ありがとうございました!!
1)千葉 修治 , 斎藤 拓郎 , 伊藤 卓雄 , 鈴木 丈博 ; 新規高リン血症改善薬スクロオキシン水酸化鉄(ピートル錠®)の使用経験
2)風間 順一郎 ; 経口リン吸着薬の分類と副作用 ; Nephrology Frontier Vol.14 No.4 :330-334 , 2015
3)日本透析医学会 ; 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン ;透析会誌45 :301-356 , 2012.
4)永野伸郎,福島直 , 慢性腎不全患者の高リン血症に対する新規リン結合性ポリマー(塩酸セベラマー)の薬理作用ならびに臨床試験成績 , 日薬理誌(FoliaPharmacol.Jpn.)122,443~453(2003)
5)医薬品インタビューフォーム , キックリンカプセル250mg キックリン顆粒86.2%
6)日経メディカル ; キックリン:安全性を高めた非吸収性リン吸着剤
7)小岩 文彦 , 佐藤 芳憲 ; 特集 慢性腎臓病におけるリン管理 VII.リン吸着剤の化学と歴史 , Clinical Calcium .Vol19 , No2 , 2009
8)松村謙二 ;鉄、アルミニウム、ランタン化合物と高リン血症治療 ,YAKUGAKUZASSHI 135(4) 545-549 , 2015
9)立道 聡 , 中垣 史哲 , 芳岡 正一 , 七里 夏子 ; 新規高リン血症治療剤スクロオキシ水酸化鉄(ピートル®チュアブル錠250mg, 500mg)の薬理学的特性, 製剤学的特性および臨床試験成績 , 日薬理誌 151 ,75-86(2018)
10)谷口 圭一 , 角田 裕俊 , 戸村 裕一 , 加来 聖司 , 内田 渡 ; 新規高リン血症治療薬ビキサロマー(キックリン®カプセル)の薬理学的特性および臨床試験成績 ; 日薬理誌141 ,333-337 (2013)
11)北村 正樹 ; 高リン血症治療薬ーリン吸着薬ー ; 耳展 58:6;312-314, 2015
12)永野伸郎,福島直 ; 慢性腎不全患者の高リン血症に対する新規リン結合性ポリマー(塩酸セベラマー)の薬理作用ならびに臨床試験成績 ; 日薬理誌(FoliaPharmacol.Jpn.)122,443~453(2003)




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