エコー下穿刺は神の御業か、はたまたペテン師の小手先か

血液浄化

さて、読者のみなさんおはよう御座います。

今回は大炎上必至の猛烈批判記事を書こうと思います。

先日、日本透析アクセス医学会にて、エコー下穿刺競技会が開催されたばかりではありますが、果たしてそれにどういう意味があるのか。

そしてエコー下穿刺界隈全体に対して、果たしてどういう意図があり、あんなことをしているのか。について書こうと思います。

ではようこそ。地獄の一丁目へ。

切っ掛けはあるアカウントの一言

 先日、とある界隈にて、動脈表在化の穿刺に対する質問が投げかけられました。

 「穿刺時にどうも傷を付けてしまったらしく、入りはしたがほんの少し腫れてしまった。先輩がその腫れを止血に入っていたが、針が入り治療も出来ているのに、止血は必要なのか?」というものでした。

 この質問に対して、様々なアドバイス的意見が出たのは言うまでもありません。

 筆者も、例に漏れず「こういう事があるあら止血するんだよー」とリプライを返しました。

 しかし、あるアカウントがこの一連の流れをぶった切るかのように言ったのです

 「表在化動脈穿刺はエコー下でやってください。以上。ブラインド穿刺で前例的にやられてるご施設・穿刺スタッフいらっしゃいますが、はっきり言って前時代的です。」

果たしてブラインド穿刺は前時代的なのか

 上記のような発言を見て、筆者は言葉を失いました。

 どうもこれからの時代は、エコー下穿刺ではないと穿刺はやってはならないらしいです。

 筆者は前回大炎上した記事でも書きましたが、エコー下穿刺には【ほぼ】反対派です。

 確かに極々極一部の血管にはエコー下穿刺が必要な血管も【おそらく】あるのでしょう。

 しかし、筆者はこれまで7施設で透析を経験しましたが、数百の患者、数千の穿刺を経験して思う事は、「エコーが欲しいなんて頭の片隅にも思った事はない」でした。

 人間、手段がある事を知らなければ、確かにそれを思い付く事はないのも事実です。

 しかし、仮にエコー下穿刺なる手技がある事を若い頃の筆者が知っていたとしても、興味は湧けど、使うかと言われれば微妙だったでしょう。

 何故なら穿刺に苦労したことがないからです。

 前回記事でも述べましたが、血液透析の歴史は50年程になります。

 この50年の間に、果たして人間は身体的構造(解剖)が変わったのでしょうか?

 急に血管が蛇行したり、深在化して血管が分からなくなったり、内シャントがそもそも作れなくなったのでしょうか?

 否。そんなことはありません。

 つまり、別にこれまでと変わらず、ブラインド穿刺といわず、標準的穿刺方法でも、穿刺・治療は行える訳です。

 果たしてこの標準的穿刺方法がまだ現役の時代に、標準的穿刺方法は前時代的なのでしょうか?

エコー下穿刺は本当に神の御業か

 さて、先に述べられた発言は、まるでエコー下穿刺が神の御業かのような物言いでした。

 果たして本当にそうでしょうか?

 エコー下穿刺が行われ初めてはや10年強、随分とエコー下穿刺界隈は賑わいを見せました。

 しかし、筆者は別です。

 これまで、筆者が所属する施設でもエコー下穿刺は数名が行っているのを横目に見てきました。

 しかし、どいつもこいつも穿刺の度に患者の腕を血だらけにし、処置シートは真っ赤。ブラインドよりも時間は掛かり、入ったり入らなかったりと、千差万別。

 どうも上記の発言の主とは様相が違います。

 現施設でもエコー下穿刺はたまに後輩がやっていますが、血だらけにしたり時間がかかったり。

 正直、神の手を持つDr.の、一瞬で入るエコー下穿刺とはレベルが違い過ぎます。

 「Dr.なんかと比べるな!」という声が聞こえてきそうですが、なら免許は返納すべきでしょう。

 僕らメディカルスタッフは、診断や処方はしなくとも、診療の補助としての治療は行うわけで、それは医師の右手として仕事をするわけであり、責任を伴います。

 それを、職能が違うからという言い訳で逃げるのはナンセンス。だと感じます。

 先日アクセス医学会が東京は両国で開かれました。

 さて、ここで面白い催し物が開かれました。そう

『エコー下穿刺競技会』

 です。

 これは名前から勿論、誰が参加した中で一番エコー下穿刺が上手いか?を競うものでした。参加枠は200名ほどだったそうです。如何せん筆者は参加していませんし、競技会自体が見学禁止だったので、詳細は良く分かりません。

それともペテン師の小手先か

 話が逸れましたが、この競技会自体は盛会に終わったようです。なんせ大会長の肝いり企画でしたからね。

 ただここで疑問が出ます。

「はて、たかだか200人しかエコー下穿刺が出来る透析医療従事者は居ないのか?」

 きっとそんなことはないでしょう。

 透析医療従事者は、推定ですが6.5万~7.2万人ほどが看護師と臨床工学技士を合わせて従事しているようです(Chat GPT5調べ)

 この数字の中から、更にエコー下穿刺が出来る人間はどれだけいるのか?さぁどれだけなんでしょうね。

 それを考えると、ブラインド穿刺は絶対数的に圧倒的な人数が行っています。

 そしてエコー下穿刺が出来る人間の、日本全国全員を集めたとしましょう。

 果たしてどれだけの人間が、一発でスムーズに穿刺を熟すことが出来るでしょうか。

 筆者が思うに、SNSでエコー下穿刺が~と言っている人間は、所詮は上澄みに過ぎないと考えています。その為、実際のエコー下穿刺の手技の中央値というのは、「入らない」「とても時間が掛かる」「血だらけ」のこの3拍子だと考えています。

 これがペテン師の小手先の所以です。

 エコー下穿刺が盛り上がるのは勝手にすればいいと思うのです。しかし、実際の現場での手技というのは、見るに堪えないブラインドよりも劣る行為だと思っています。

 SNSなんていうのは恣意的で、わざわざ自分の失敗談をひけらかす様な人間はそうはいないでしょう。つまり、失敗を隠すのは簡単という訳です。

 SNS(特にX)上では、エコー下穿刺をまるで神の御業のように称賛する人が数名居ます。啓蒙活動にも勤しんでいます。

 「誰にだって失敗はある」「教育途中なんだから失敗は当たり前」

 そんなこと言葉は医療では到底通用しません。その失敗一つが命取りです。手術でDr.が間違って違う血管切って、「まぁ失敗は誰にでもありますから」なんて通用しますか?

 侵襲的行為をしていることに変わりはない訳で、本来はそこに失敗は許されません。

 筆者はX上で割と「あ~今日穿刺どぎつい失敗したわ~」という発言をします。その際に飛んでくる罵詈雑言と誹謗中傷の数々のほどんとは、「エコー下穿刺をしていないからだ!!」が中心です。ただ言わせてもらうと、誰が一々成功して当たり前の穿刺を、「今日は〇例穿刺成功したわ~!気持ちいー!!」とか言うでしょうか。そんなこと一々言わないでしょう。居たら頭おかしいです。

 まるでエコー下穿刺が神の御業のように言いますが、それは上澄みのペテン師が言っているに過ぎないという訳です。

エコー下穿刺が普及しないもう一つの理由

 筆者が暮らす地域は、俗にいう僻地です(今のところ)。

 さて、僻地の透析医療はどんなものかというと、「ベッドが10床未満」「患者数が居ないから1クールだけ」「技士が居ないから看護師だけ」などのオンパレードです。

 こんな施設で、果たしてどれだけの医業収益が出せているでしょうか?まぁ想像には難くないでしょう。

 エコー装置って一体いくらかかるかご存知の方はどれだけいるでしょか?

 医療機器って、定価は有ってないようなものなので、まぁ5~8割引きが当たり前の業界です。それでも、機器の構成によっては、タブレットエコーで数10万~、ポータブルエコーで数百万~はざらです。

 果たしてこの購入資金を、どれだけの透析施設が賄うことが出来るでしょうか。レンタルやリースだとしても、費用はバカになりません。

 そんなものに投資するくらいなら、患者獲得のために奔走したり、コンソール購入更新に当てる方が優先度は高いでしょう。

 ここでも疑問が発生します。

 なぜエコー下穿刺はこんなにも素晴らしい!!という声があるにもかからわず、誰も診療報酬には言及しないのでしょうか。

 そんなに安全で確実な手技だというのであれば、さっさと診療報酬を付けるように働きかけるべきではないでしょうか。

 この現実が、経営層である医師や、現場の人間の現実を表わしています。

 つまり「エコー下穿刺は必要ない」というわけです。

 診療報酬のJ038 注4にはこうあります。「カニュレーション料を含むものとする。」

 これは、エコーを使おうがブラインドだろうが、穿刺技術には別途診療報酬は付けませんよ。ということです。

 その為、わざわざエコー装置を買ってまで穿刺をするメリットが経営上は存在しない事を後押ししています。

 どーしてもエコー下穿刺を普及させたい一派は存在するようですが、まぁ、現実問題無理でしょう。政治的な働き掛けでもないかぎりはね。

まとめ

 さて、まぁなかなかだらだらと書いてきましたんで、一応まとめましょう。

  • エコー下穿刺で声が大きいのは、SNS上の上澄み(氷山の一角)だけ。
  • エコー下穿刺を実施している従事者全員を集めた時の中央値は、恐らくブラインドと相違ない
  • エコー下穿刺がそんなに素晴らしいなら、診療報酬を付けるべき。付かないことが現実を表わしている。

 とまぁこんなところでしょう。

あとがき

 さてさていかがだったでしょうか。

 随分読み辛い文章構成になりましたが、まぁ今回の記事は別にそんなものには拘っていないので、別に構いません。

 エコー下穿刺勢を敵に回す。と言っても過言ではないですが、まぁブラインド勢に対して喧嘩を売ってきたのもエコー下穿刺勢ですし、反論するくらい構わないでしょう。

 僕のブログで唯一コメントが付いているのが、前回のエコー下穿刺の記事なので、まぁ今回も沢山コメントが付くことを心待ちにしております(返信するかは別として)。

 では今回はこの辺で。

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