換気モード~CPAP(持続的気道内圧陽圧換気)とは~

人工呼吸器

換気モードの説明第3弾ではCPAP(持続的気道内圧陽圧換気)について説明していこうと思います。

自発呼吸のみで人工呼吸はどうして成り立つのか?

それを解説していこうと思います。

では換気モードの世界へようこそ

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続的気道内圧陽圧換気)ってどんなもの?

CPAPとは

Continuous :持続的=常時

Positive :陽圧=プラスの圧をかけ続け

Airway Pressure:気道内圧=気道(肺胞)を膨らませる

という、日本語に直してみればなるほど?という換気モードです。

CPAPVとはいいません。換気という日本語は便宜上付けられているものですので注意しましょう。

どんな風に換気を行うのか

自発呼吸のみを検知する

 CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続的気道内圧陽圧換気)では、強制換気は基本的に行いません。

 全くの自発呼吸のみです。

 但し、自発呼吸のみでは一回換気量を担保できない患者に対してはオプション機能を付加して呼吸を補助します。

+PSV(Puressure support Vantilation:圧補助換気)という選択肢

 自発呼吸のみでは一回換気量を担保できない患者に対してはオプション機能として圧補助換気(PSV:Puressure Support Vantilation)という換気を付加します。

 このオプション換気では、患者の自発呼吸を検知すると、まずトリガーの感度設定まで患者が呼吸をしているかをチェックします。
 設定が圧トリガーであれば吸気圧がマイナス、フロートリガーであればL/minの勢いで検知され、それが設定感度に達していればPSVで設定した圧まで気道内圧を上昇させ、一回換気量を担保するのです。

常に肺胞に圧をかけ続けるという選択肢

 健常人は常に肺が膨らんでいる。つまりは肺胞に圧が掛かっているということになります。その圧力は3~5cmH2Oと言われています。

その圧を人工的にかける為にPEEP(Positive-End Expiratory Pressure:呼気終末陽圧)をかけてあげます。

CPAPであれば5~8cmH2O程度からスタートとなる施設が多いのではないでしょうか。

CPAPに限らず、人工呼吸器には必須のオプション機能ですね。

適応は?

 CPAPモードの適応は、自発呼吸が強い患者~抜管前となります。

但し、自発呼吸が強すぎて呼吸回数が多い場合にはこの限りではありません。

そんな患者に対しては鎮静を掛けた上でA/C、又はSIMVが適応を持ちます。

なので、自発呼吸があるだけでCPAPを選ぶのは危険と言えるでしょう。

メリットとデメリット

では詳しく解説していきましょう。

メリット

  • すべての換気が患者の意思で行える

 自発呼吸がメインとなるため、吸気開始のタイミング、吸気時間、呼気開始のタイミングを患者自身で決定することが出来ます。

  • ファイティングが起きない

 また、自発呼吸が主体となるため、患者と人工呼吸器の同調性はかなりよくなり、強制換気がないので、ファイティングは起こらなくなります。

  • 最低換気回数は保証される

 万が一、自発呼吸が途中で止まってしまった場合にも、基本的にはバックアップ換気が設定できるので最低換気回数は保証されます。

 但し、このためにはアプニア(無呼吸)時間設定を適切に行う必要があります。

 基本的には25~30秒で設定している施設が多いのではないでしょうか。

デメリット

  • 過換気に注意が必要

 上記でも説明したように、全ての換気は患者によって決定されます。

 その為、吸気努力も全て検知してしまうのです。

 過換気によりCO2が吐かれすぎて低CO2血症や呼吸性アルカローシスの進行を招き、また呼吸筋の疲弊により自発呼吸の停止も懸念されます。

 この為、一回換気量と共に換気回数にも注意が必要なモードとなります。

 このような場合には、一度鎮静を深めに行い(RASS-2~-3)、完全に人工呼吸下で管理してしまうのも一つの手段ではあります。

  • 適切なバックアップ換気とアラームの設定が肝要!

 CPAP(+PSV)では自発呼吸があることが前提で換気を行いますが、何らかの原因(入眠や鎮静)で自発呼吸がなくなった場合には、適切なアプニア(apnea:無呼吸)設定やバックアップ換気(PCV or VCV)が行われなければなりません。

 そもそも自発呼吸が無い患者には不適応なモードなため、RASSが深い場合にはA/C-CMV,SIMVが適応となります。

 また、バックアップ換気でも一回換気量や分時換気量の低下にも配慮が必要なため、適切なアラーム設定が肝要となります。

あとがき

以上がCPAPモードの概要になります。

こちらでは挿管中のCPAPについて解説しましたが、NPPV – マスク換気中のCPAPについても解説しているので、必要な方はご覧ください。

また、RASSに関しても解説した記事をご用意しているので、ご興味のある方はご覧ください。

それではここまでお疲れ様でした!!

ではまた!!

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