さて、人工呼吸器には様々な設定項目があります。
その中でも基礎の基礎、PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)について解説していこうと思います。
どうして必要なのか？？
ならどれだけ掛ければいいのか？？
そのあたりにも注目していただけると嬉しいです！！
では行きましょう！！
PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)って何？？
PSVとは
Pressure ：圧＝トリガーに合わせて圧力を掛け
Support ：補助＝換気補助を行い
Ventilation：換気＝ガス交換を促す
という意味です。直訳してもこのままなので、日本語としてもとても覚えやすいと思います。
PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)の特徴とは？
PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)の最大の特徴は
“患者の吸気努力に対して同調することができる“
です。
このオプション換気スタイルでは、患者の吸気努力があることが大前提です。
その為、吸気時間、吸気流速は患者が決めることが出来ます。まさに患者依存の換気スタイルですね。
PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)のメリット・デメリット
上記でも述べたように、PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)の機能は”患者の吸気努力に対して同調することができる”の一点になります。
ではメリット・デメリットを説明していきましょう
メリット
- 人工呼吸器との同調性が上がる
かなりしつこいですが、PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)はあくまで患者の自発呼吸があることが前提の換気設定です。患者の吸気努力を検知し、それに同調する形で設定圧まで気道内圧を上げるように圧補助換気を行います。その為、同調性はバツグンに上がることになります。
- 呼吸筋の疲労軽減
自発呼吸だけで呼吸を行う場合、必要な一回換気量を得る為に最大限まで呼吸筋を使わなければなりません。
それに比べ、吸気努力を検知すれば自動で気道内圧を設定値まで補助してくれるPSVは、圧の上昇に伴い、一回換気量の増加を伴い、呼吸筋仕事量の軽減に寄与することができるのです。
デメリット
- ミストリガーが起こる可能性
ミストリガーとは、患者の吸気努力が拾えない状態の事を指します。トリガーの感度設定にもよるため、一概には言えませんが、吸気努力がないと換気は行われません。その為、バックアップ換気が作動し、結局は非同調の強制換気が起こってしまうのです。
- オートトリガーが起こる可能性
患者のしゃっくりや体動、気道内圧の変化を招くリーク，心拍変動，人工呼吸器回路内の結露や気道内分泌物貯留などが原因になります。不適切に鋭敏なトリガーがオートトリガーの原因ともなるため、設定の見直しが必要となります。
- 過換気の起こる可能性
上記のように鋭敏すぎるトリガーの設定は呼吸回数の増加を招き、結果として過換気からの呼吸性アルカローシスを起こすこととなります。
圧補助換気と従圧式換気の違いって何？？
PSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)はあくまで患者の吸気努力があることが前提の換気設定です。
換気設定はPSVの圧力設定だけなのが特徴です（バックアップ換気も本当は必要です）。
対してPCV（Puressure Control Ventilation）は強制換気であり、患者の呼吸とは非同期の換気様式だということです。
設定項目は吸気圧、吸気時間、換気回数
と、大きく異なります。
上記でも述べたように、吸気流速や吸気時間は患者に依存します。その為、同調性はいいものとなります。
このあたりの知識整理をしておかなければ、「今どの換気スタイルなのだろうか？」と混乱してしまうかもしれません。
あとがき
適切なPSV(Pressure Support Ventilation:圧補助換気)は肺を保護し、予後を改善し、挿管期間を短くすると言われています。
この様に、患者さんのためにも適切な設定を知っている事は医師のみならず、看護師やコ・メディカルにも重要なこととなっています。
コ・メディカルには臨床工学技士も含まれます。
この為、僕ら臨床工学技士が皆さんに色々なことを聞かれたときに答えられる様、日々研鑽が必要ですね。
ではまた次回の記事で会いましょう！！
コメント