皆さんおはこんばんちわなら~
前回、二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)について解説してみました。
いかがだったでしょうか?
今回はSHPTに対する治療薬に対して解説していこうと思います。
さて、筆者は薬物療法が一番の苦手分野です。今まで出来ることなら逃げて通ってきました(おぃ
どこまで正確に且つ有用な記事が書けるでしょうか?
では行きましょう。カルシウムの世界へようこそ。
そもそもカルシウム受容体って??
前回記事内でも説明させていただきましたが、血中Ca濃度は副甲状腺で常に監視されています。詳細に言えば、副甲状腺内にあるCaSRと言われるレセプターがCa濃度を監視しているのです。
血中のCa濃度が上昇するとCaSRは活性化し、PTHの分泌を抑制する方向に働きます。
逆に血中Ca濃度が低くなるとCaSRは不活化し、PTHの分泌亢進を行う方向に働きます。
透析環境下では上記ブログで詳細に述べていますが、Ca吸収低下が起こり、低Ca血症が引き起こされます。これにより常時PTH分泌が亢進してしまい、Caを正常に戻そうとするため副甲状腺は120%の能力を発揮しようとします。結果、細胞が増殖。肥大化を起こします。
これが二次性副甲状腺機能亢進症です。
カルシウム受容体作動薬とは??
カルシウム受容体作動薬とは、その名の通りCaSRに直接作用し、CaSRを活性化。結果としてPTH分泌を低下させる方向に働かせる薬剤です。
2023年7月現在、透析では4種類の薬剤が保険収載されています。
これらの薬剤をまとめてcalcimimetics:カルシミメティクスと総称します。
では軽く各薬剤について解説していきましょう。
オルケディア(エボカルセト):経口剤
容量:1mg,2mg
効能・効果:維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
下記疾患における高カルシウム血症
副甲状腺がん
副甲状腺摘出不能又は術後再発の原発制服甲状腺機能亢進症
禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴
妊娠又は妊娠している可能性のある女性
併用注意:デノスマブ
ビスホスホネート系製剤
カルシトニン
副腎皮質ホルモン
テオフィリン
ジギトキシン・ジアゼパム等
重大な副作用:低カルシウム血症(16.8%)
QT延長(0.6%)
レグパラ(シナカルセト):経口剤
容量:12.5mg,25mg,75mg
効能・効果:維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
下記疾患における高カルシウム血症
副甲状腺がん
副甲状腺摘出不能又は術後再発の原発制服甲状腺機能亢進症
禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴
併用注意:アゾール系抗真菌剤
マクロライド系抗生物質
アミオダロン塩酸塩
グレープフルーツジュース
三環形抗うつ薬
ブチロフェノン系抗精神病薬
フレカイニド酢酸塩
ビンブラスチン硫酸塩
ビスホスホン酸塩系骨吸収抑制剤
カルシトニン
副腎皮質ホルモン
ジギトキシン・ジアゼパム等
重大な副作用:低カルシウム血症・血清カルシウム減少(13.7%)
QT延長(5.3%)
消化管出血・消化管潰瘍(頻度不明)
意識レベルの低下(0.2%),一過性意識消失(0.2%)
突然死(0.3%)
パーサビブ(エテルカルセチド):透析回路静脈側に注入
容量:2.5mg,5mg,10mg
効能・効果:維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴
併用注意:デノスマブ
ビスホスホネート系製剤
選択的エストロゲン受容体モジュレーター
カルシトニン
副腎皮質ホルモン
重大な副作用:低カルシウム血症(1.0%),血中カルシウム減少(14.7%)
心不全の増悪(頻度不明)
QT延長(頻度不明)
ウパシタ(ウパシカルセト):透析回路静脈側に注入
容量:25μg,50μg,100μg,150μg,200μg,250μg,300μg
効能・効果:維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴
併用注意:デノスマブ
ビスホスホネート系製剤
選択的エストロゲン受容体モジュレーター
カルシトニン
副腎皮質ホルモン
重大な副作用:低カルシウム血症(5.7%)
QT延長(1.3%)
レグパラ・オルケディアの注意点
上部消化管障害の頻度はレグパラに比べ低いですが、それでもオルケディアでは腹部不快感(3.7%)、悪心(4.7%)、嘔吐(4.1%)、下痢(3.2%)と発現するため、使用には注意が必要です。
透析性などの特徴
次に各薬剤での代謝経路をおさらいしてみましょう。
・シナカルセト、エボカルセト
主な代謝経路は肝代謝です。透析未実施時の消失半減期はシナカルセトで30~40時間、エボカルセトで20~33時間となっています。
タンパク結合率も前者が94.33~97.67%、後者が97.8~98.4%と高く、透析による除去はありません。
・エテルカルセチド、ウパシカルセト
主な代謝経路は透析による除去になります。透析未実施時の消失半減期はエテルカルセチドは不明、ウパシカルセトは65~122時間となります。
こちらは透析による除去が起こります。エテルカルセチドは175日で59.6%が透析中に排泄。糞中・尿中への排泄は5%未満でした。また、ウパシカルセトが一回の透析で78.4~100%が除去されてしまうため、透析終了時に投与しましょう。あまりに早い投与は透析されてしまうので、注意が必要です。
タンパク結合率も低く、エテルカルセチドは41~47%,ウパシカルセトは44.2~45.6%しか結合されません。そりゃー透析されますよね。という感じです。
あとがき
今回はカルシウム受容体作動薬4剤について解説しました。
正直、パーサビブとウパシタの使用に関する違いを調べたかったのですが、リサーチ力不足なのか、そこまで差異を見つけることは出来ませんでした。
それでも、近年の新薬開発は目覚ましく、活性型ビタミンD製剤による副作用(高リン血症、高カルシウム血症)よりは使い勝手はいいのではないのでしょうか?という意見もあるようです。
もし、こんな根拠があって使い分けているよ。という意見があれば、ご教授いただければ幸いです。
さて、では今回はこの辺りまで。ではでは~~
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