RASS(Richmond Agitation Sedation Scale)完全ガイド|鎮静スケールの評価方法・臨床例付き

人工呼吸器

今回は人工呼吸器とは切っても切れない鎮静の評価についてのお話です。

 ICUやHCUで人工呼吸器管理をしていると、「鎮静が深すぎて覚醒が遅い」「逆に動いて危険」など、鎮静の深さ調整で悩むことが多いと思います。
 また、鎮静過剰は人工呼吸器離脱の遅れや合併症増加につながることが報告されています(参考:JAMA 2002)。
それを防ぐため、客観的な鎮静スケールの使用が推奨されています。この“鎮静のさじ加減”を客観的に評価するのが、RASS(Richmond Agitation–Sedation Scale) です。

適切な鎮静評価は、人工呼吸器の適切な管理に繋がります。

その為、覚えておいて損はなしです。

では行きましょう!

~ようこそ鎮静管理の世界へ~

~まずはRASSの正式名称を~

RASSの正式名称は

Richmond Agitation-Sedation Scale です。 日本語では

Richmond :リッチモンド

Agitation:興奮(動揺)

Sedation :鎮静

Scale:スケール

となります。Richmondは地名で、RASSが発表されたVirginia Commonwealth Universityがバージニア州リッチモンドにあることから名づけられたと思われます。

RASSは何を判断するのか??

RASS(Richmond Agitation- Sedation Scale)は、鎮静薬を使用中の患者さんの鎮静状態を評価するためのスケールです。鎮静中に1時間~数時間の間隔で評価を行うことで適正な鎮静が行われているか評価する場合や、鎮静度の目標を決めて鎮静薬の調節を行う際の評価にも使用されることがあります。

 鎮静は、気管挿管などの侵襲的な治療を受ける患者さんの苦痛を和らげたり、せん妄などで危険な行為におよぶ可能性のある患者さんを落ち着かせて快適さを確保したりする目的で行われます。鎮静薬にはさまざまな種類がありますが、いずれも患者さんが快適に過ごせるよう個々に合わせて調整していくことが必要です。

RASSの評価方法は?

RASSは、鎮静度を10段階に分けて評価します。0を意識清明な状態とし、興奮状態にある場合は+1~+4、鎮静状態にある場合は-1~-5までにスケーリングします。

RASSの使い方は下記のとおりです。簡易的で迅速な評価が可能であるため、鎮静管理をしている患者さんについては、決められた時間ごとに適正な評価を行います。

評価方法

  1. 患者を観察します。 患者は機敏で落ち着いていますか (スコア 0)?
  2. 患者は落ち着きのなさまたは動揺と一致する行動をとっていますか ?
    (上記の説明の下にリストされた基準を使用して +1 から +4 のスコアを付けます)
  3. 患者が覚醒していない場合は、大声で患者の名前を話し、患者に目を開けて話者を見るように指示します。 必要に応じて 1 回繰り返します。 話者を見続けるように患者を促します。
    患者は開眼とアイコンタクトがあり、10 秒以上持続します (スコア -1)。
    患者は目を開けてアイコンタクトをとっているが、これは 10 秒間持続していない (スコア -2)。
    患者は、アイコンタクトを除いて、声に反応して動きがあります(スコア-3)。
  4. 患者が声に反応しない場合は、肩を振って患者を物理的に刺激し、肩を振っても反応がない場合は胸骨をこすります。
    患者は、物理的な刺激に対して何らかの動きがあります (スコア -4)。
    患者は声や物理的な刺激に反応しません (スコア -5)。

以上がRASSを用いる場合の評価手順になります。これを正しく行う事で、正確な評価へつながります。

臨床での使用例は?

  • ケース1:ICUで人工呼吸器管理中の患者(RASS −4)
    • 呼びかけには反応せず、痛み刺激でわずかに顔をしかめる。
    • → 過鎮静の可能性があり、鎮静薬の減量を検討。
  • ケース2:RASS +2 の患者
    • 体動が強く、人工呼吸器に同調しにくい。
    • → 鎮静薬の追加投与を検討し、疼痛コントロールも確認。

 この様に、「−5は昏睡」「+4は暴力的」だけでなく、「どう行動するか」を示します。

他スケールとの比較・検討

スケール名主な使用場面評価項目特徴
RASS一般的な鎮静・覚醒評価10段階(+4〜−5)簡便で再現性が高い
SAS (Sedation Agitation Scale)呼吸管理中の患者7段階動きと反応中心
Ramsay Scale古典的な評価法6段階鎮静深度の評価に限定

 このように、評価段階は細かくとも、簡便に再現することができるのがRASSの強みです。

注意点・限界・誤評価パターン

  • 筋弛緩薬を使用中はRASS評価は無効(筋反応が見られないため)。
  • 疼痛やせん妄を伴う場合、鎮静スコアが高くても苦痛を訴えていることがある。
  • 高齢者では反応が鈍く、RASSスコアが低く出やすい

🧩 狙い:「正しく使えない条件」を明示することで、周りのメディカルスタッフと差を付けましょう!

近年の鎮静管理ガイドライン(Society of Critical Care Medicine, 2018)では、
鎮静の過量投与を避けるため、RASSやSASの定期的評価が推奨されています。

🔗 参考:SCCM Clinical Practice Guidelines for Pain, Agitation/Sedation, Delirium, Immobility, and Sleep (PADIS), 2018

あとがき

どうだったでしょうか。

今回は単に鎮静の評価についてのみご笑覧頂きました。

ガイドライン上でも、RASSを用いることは推奨されています(推奨度B)

鎮静は疾患によりもたらされることもあれば、薬剤投与により強制的に行う事もあります。

その為、薬剤の説明については今回は割愛しています。

興味がある方は調べてみてください。もしくは問い合わせがあれば、それについての記事も作ろうと思います。

以上!!RASSの解説についてでした!!

Sessler CN, Gosnell MS, Grap MJ, et al: The Richmond Agitation-Sedation Scale: validity and reliability in adult intensive care unit patients.

Am J Respir Crit Care Med 166: 1338-1344, 2002

鎮静スケール(RASS)|知っておきたい臨床で使う指標

看護ルー https://www.kango-roo.com/learning/3855/

人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン

日本呼吸療法医学会
人工呼吸中の鎮静ガイドライン作成委員会
http://square.umin.ac.jp/jrcm/contents/guide/page03.html

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