スペシャリストとしての生き方

自己紹介

先日公開した記事(ジェネラリストの罠~今回の就職活動を通じて~)でジェネラリスト(ゼネラリスト?)として生きる事のリスクをご説明しました。

人生は意識的に生きなければ、スペシャリストとして生きるのはもしかしたら難しいのかもしれませんね。

さて、ではスペシャリストとして生きればリスクはないのか??

筆者はスペシャリストではない(かもしれません)です(客観的にみれば)。

では考えられる限りのifストーリーを綴っていければと思います。

スペシャリストとは

まずスペシャリストの定義から。

と思いましたが、先日の記事で既にスペシャリストとはなんぞや??という話はしていました。

少し話はずれますが、僕たち臨床工学技士にとって、そして医療従事者にとってのスペシャリストとはなんでしょうか?

看護師にとってはハードルが高く、まさにスペシャリストという感じがします。

診療補助看護師:NPはまさにそうですね。

他にも各種認定看護師があることは有名ですね。

では他の職種はどうか??

筆者がもつ唯一にして最大の武器は「透析技術認定士」です。

臨床工学技士が取得できる資格はもちろん他にも多種多様な資格が用意されています。

  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 体外循環技術認定士
  • 透析技能検定2級1級
  • 臨床ME専門士
  • 周術期管理チーム認定
  • CD-R/IBHRE(不整脈関連資格)
  • ME2種
  • e.t.c…

まぁ数えだしたらキリがありません。

これら認定資格は、臨床工学技士であれば満3年の業務経験で取得できます(臨床ME専門士のみ2年かな。試験が超高難度ですが・・・)

さて、ここで疑問が出てきます。果たして3年如きの臨床経験で取得できる資格がスペシャリストなのか?と。

世間から見たらどうなんでしょか。実情を知らない人々から見れば、スペシャリストなのでしょう。

その分、資格の名に恥じぬよう、切磋琢磨する必要があります。

その為に、各種資格には有効期限が定められており、各種学会や勉強会への参加が義務付けられています。参加すればポイントが付きますし、発表や座長などの演者ポジションであればさらに高得点が取得できるように設定されています。

切磋琢磨し、常に最新の情報に触れ、技術を磨き、そしてそれらを患者へ還元する。

そうですね。ここまで説明すれば、思いの外スペシャリスト味がしてきました。ちょっと意外です。

デメリットなんてなさそう。そう思います。

エキスパートとは

エキスパートとは何か。これについても前回の記事内でおもいもかけず説明することになりました。

では筆者が考えるエキスパートとは何か?という話をしていこうと思います。

ずばり、各種専門臨床工学技士に他ならないでしょう。

現在、専門臨床工学技士としては下記が存在しています。

  • 「呼吸治療関連専門臨床工学技士」
  • 「血液浄化関連専門臨床工学技士」
  • 「手術関連専門臨床工学技士」
  • 「心・血管カテーテル関連専門臨床工学技士」
  • 「高気圧酸素治療関連専門臨床工学技士」
  • 「内視鏡関連専門臨床工学技士」
  • 「不整脈治療関連専門臨床工学技士」

上記7資格は文句なしにエキスパートだと思われます。

理由としては、日本臨床工学技士会への入会期間が途切れなく5年間であり、またその合格率の低さ、難度にあります。

筆者は家庭の事情などから、講習会の受講のみで試験は受けていません。

ただし、仮に試験を受けたとしてとしても血液浄化専門臨床工学技士は受かる気がしません。過去問等を見る限りでも、その難易度は別格です。

この専門臨床工学技士の中に集中治療は入っていません。それはなぜか?それは主催が集中治療医学会だからです。あくまで日臨工は共催という立場なので、少しポジションが変わります。

さて、少々脱線してしまいましたが、エキスパートとは上記8資格を取得した人間が名乗れるものだというのが筆者の立場です。

これらの生き方とそのデメリット

臨床工学技士という職種は、その8割が卒後、血液浄化ー特に血液透析に従事します。それは専任・兼務を問わずです。

血液浄化とは対照的な循環器業務というのは激務です。オンコールとは切っても切れない業務です。

その為、30代40代になるとオンコールがきつくなる。なんて話もちらほら聞きます。そうなるとその人々はどうなるか?

一つは管理職として昇進の道があるでしょう。

または後進の育成という仕事もあるでしょう。

ただ、これらの枠に入れなければどうなるでしょう。そう。血液透析の道になるのです。

昔から(何故か)循環器と代謝というのは犬猿の仲な施設が多いような気がします(筆者もそれを肌で感じてきました。ただどちらも好きな筆者はどちらの立場にも相いれないかもしれませんが)。

ここにスペシャリストとして生きたことの弊害がこれからの時代出てくるのではないか?と感じるのです。

その弊害とは?

今回、筆者は転職活動で大変苦労しています。クリニックでさえ断られてしまっていることがそれを如実に表しています。

さて、先ほども述べたように激務である循環器業務に携わることには寿命があります。

そして血液浄化業務へ流れていくわけですが、総合病院での血液浄化というのは、概して一時的血液透析に他なりません。PTA依頼の入院、シャント造設、AKIによるCRRT。

これらを行うのにそんなに何十人も人員は必要ありません。

となると、ポストが無くなれば退職という選択肢も視野に入るわけです。

しかし、クリニックや療養型の透析病院が、循環器や呼吸器ばかりをやってきた年季の入った技士を雇用するメリットはあるでしょうか。

それが管理職候補であれば、億が一くらいであればポジションはあるかもしれません。

しかし、普通に考えれば(年齢に比して)難しい穿刺も担当出来ない、透析に関する知識もない(J-DOPPSやCKD-MBDの解説出来ますか?という話)下手すれば透析技術認定士や血液浄化認定臨床工学技士さえ持っていない。往々にしてありえるシミュレーションです。

日本透析医学会(以後、JSDT)は2021年以後、透析患者の導入数と死亡者数は逆転するのではないか?という統計予測を出していました。この予測は完全ではないにしろ、当たらずも遠からずになっています。徐々に導入者数と死亡者数の差は縮まっています。

少ないパイを取り合う世界になりつつあるのです。国は病院の統廃合を推し進めています。循環器も徐々に全国で縮小傾向になりつつあり、症例の取り合いになっています。

透析のクリニックも倒産が相次いでいます。地方ではその傾向は顕著です(都市部ではまだ透析患者は増加傾向にあるため)。

スペシャリストとして生きた時、透析に従事した期間が長く無ければこの問題にどう対処するのかが人生の分かれ道になるかもしれませんね。

教職?管理職?平社員?メーカー?ディーラー?

さぁみなさんはどんな人生を歩みますか?

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