脱初心者!!穿刺技術のステップアップ!!

血液浄化

今回は血液透析でも患者にってはウェイトの重い、穿刺技術について書いていきたいともいます。

新卒1年目の方々は、そろそろ早ければ穿刺を始めている頃かもしれませんね。

けど一時的にとはいえ、スランプに陥ることもあるでしょう。

色々と悩み、そして成長していくものである。と筆者は考えます。

そこで、そんな初心者の方々を対象に穿刺のコツみたいなことを伝授できればと思い筆を執っています。

では行きましょう。いざ、穿刺の世界へ。

まずは十分なトレーニングと基礎知識の獲得

シャント自体はほとんどがよく発達した、見かけ上は穿刺のし易そうな血管です。しかし、侮るなかれ。個性が様々なのです。

では何が重要なのか。

それは脳内イメージングだと思っています。

血管の解剖も大切ではあります。しかし、中々教科書通りの血管とはいきません。大切なのはそこにある血管に穿刺しなければならないということです。

さて、イメージングが大切だと言いました。しかし、イメージするにはその物体に触れる必要があります。

そこで必要になるのが触診、視診などのアセスメントである。と考えています。

まずは視診

ボコボコしている血管でも、実は内腔は狭い。そもそもボコボコしていない血管でストレート。シャントが見えないところにある。要するに深い。など。

見た目からでも得られる情報というのは意外に多いものです。

どっち向きに走っているのか。血管の幅はどれくらいか。

これらからイメージできることも意外と多いと筆者は考えます。

また、テープかぶれや透析掻痒症などによる傷がある場合には、穿刺場所をずらすなどの考慮が必要です。

そして触診

駆血する前に触るのも良し、駆血してから触るのもよし。

但し、注意が必要なのは動脈を止めないこと。

駆血のポイントは如何に静脈をうっ血させるかにあるので、流入口である動脈を止めてしまっては意味がありません。

静脈をしっかりと怒張させること。もし駆血だけで静脈の張りが今一だと感じた場合には、患者に手をグッパしてもらってください。そうして静脈の張りを十分なものとすることで、穿刺にようやく臨むことが出来ます。

穿刺部位の選定

穿刺は失敗の許されない手技であります。その為、如何に一発で成功させるかが鍵となります。

そこで問題となるのが穿刺部位です。

いいですか。ここは肝心なところですが、他のスタッフが穿刺をしているからといって、穿刺のかさぶたがある所が、あなたにとってのベストポジションであるとは限りません。

時には勇気ある撤退も必要な場面が出てくるでしょう。

では勇気ある撤退とはどんな場合なのか。それは穿刺部位をA/V共に同じ場所で、逆/順穿刺してしまうことです。

この穿刺のメリットは二つあります。

一つは1本の穿刺が成功してしまえば、先に入った針を傷つけない限りは成功したも同然だという事です。

二つ目に、止血がとても容易に行えるという点です。

本来であれば2点を圧迫止血する透析ですが、ほぼ一カ所で穿刺している為、ガーゼ(圧迫綿)は一つで済むという利点があります。これは患者・医療者双方にとってもメリットが大きいのではないでしょうか。

適切な穿刺針の選定

透析では17G~15G針を使います。その為、血管径をしっかりと観察し、適切な太さの穿刺針を選定することが重要になります。

細い血管に無理やり15Gを刺そうとしても、失敗の原因になりかねません。

また、治療に必要な血流量によっても針の太さを変える必要があります。

その為、上記でも述べたようにアセスメント、及び適切な穿刺針の選定は重要となります。

患者とのコミュニケーション術

シャントは患者にとって命と同義です。シャントがなければ透析を受けることは出来ません。

首からダブルルーメンカテーテルを挿入したとしても、それにより得られる血流量はたかが知れています。

その為、シャント管理や穿刺というのはとてもナイーブな問題なのです。

それに資格を持ち、法律的に刺すことが許可されている我々は、だからといって容易く穿刺をしてもいい訳ではありません。そこへ至るには患者への十分とも言える信頼を得、そしてシャントへの理解を深めることが必要不可欠となります。

そして信頼を得ていたとしても、失敗は許されない。という心持で臨まなければなりません。

それが我々医療従事者なのです。

いざ穿刺へ

さて、フィジカルーヴェッセルアセスメントはここで終了。次は本番、穿刺になります。

といっても、穿刺はアセスメントが完了した時点でほぼ終了といっても過言ではないかもしれません。

太くてボコボコした血管であれば、迷いなく刺してあげましょう。迷いは失敗の原因となりますし、何より長い時間をかけるのは患者の苦痛以外の何者でもありません。

上記でも述べているように、痒みなどでかぶれや傷がある場合には穿刺場所をずらしましょう。皮膚状態の悪化を招きます。

勢いは必要ですが、勢い余って穿通するようなことがあってもいけません。

また、中には深い血管も存在します。

しっかりと、しかし動脈を止めるようなことはせずに適切な圧で駆血を行います。

しっかりと怒張したことを確認し場所を定めた後、最後の消毒を行い穿刺に臨みます。

万が一、穿刺を失敗してしまったら

上記でも述べているように、本来であれば穿刺は失敗が許されません。

しかし、人間に絶対はありません。弘法も筆の誤りです。

そんな場合にはどうするか。

それは、下手に血管を探るような手技をせず、しかし抜針をすることなく、他のスタッフに救援を頼むことです。

失敗をすることは患者の信頼を揺るがしてしまうかもしれません。しかし、適切な対処を行わない方が何よりも信頼を損なうものだという事を肝に銘じなければなりません。

1度の透析で幾度もの穿刺は苦痛でしかありません。そのため、出来るだけ穿刺針を抜くことなく、リカバリー出来るのであれば他のスタッフにリカバリーしてもらうのが吉でしょう。

それが患者信頼回復への第一歩です。

あとがき

いかがだったでしょうか。

今回は脱初心者を目指して、穿刺技術について述べてみました。

穿刺という手技に行き詰まり、難儀している方も居るでしょう。そんな方に、今一度初心に帰り、何が大切だったかを思い出すきっかけになれば幸いです。

では今回はこの辺で~。

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