酸素療法と酸素ボンベの取り扱い|医療安全について知ろう

自己紹介

さてさて、先日とある看護師(と思われる)アカウントが、酸素ボンベの取り扱いでとても危険なツイートをしていました。

2026年4月11日現在、インプレッションは5.5万という伸びです。

インプレッションで稼ぐアカウントとしては上々でしょう。

さて、このポスト(ツイート)のどこが危険なのでしょうか。

今回はそれを紐解いていこうと思います。

では行きましょう。酸素療法の世界へようこそ

酸素療法に必要なデバイス

さて、酸素療法といっても程度は様々です。

なので、今回は酸素ボンベとそこに繋がる流量計や減圧弁について述べたと思います。

で、今述べましたが必要なデバイスは「酸素ボンベ」「酸素流量計」「減圧弁」の3つです。

酸素ボンベ

ガスボンベの色について 窒素 酸素などなど | 有限会社 中津酸素
本日は、ガスボンベの色についてです。写真にもありますが、ガスボンベに黒、ねずみ色、緑などの色が塗られています。この色ですが、なんでも良いという訳ではありません。ガス種によってボンベの色が決まっています。 酸素・・・黒 炭酸・・・緑 水素・・...
有限会社 中津酸素

酸素ボンベは画像の通り、黒色と定まっています。その他にも様々なボンベがあり、それぞれに独立して定まっています。これは「高圧ガス保安法」により定まっています。

容量も携帯用の在宅酸素用ボンベ(300~500L)から、病院に設置される据置き用ボンベ(6,000~7,000L)まで様々です。

接続部

そして酸素配管の接続部、俗にいうアウトレットは「緑色」と定まっています。これを定めているのはJIS規格-日本工業規格です。もっと細かい事を言えば、JIS K1101:2017酸素により定まっています。

接続部は誤接続防止のための工夫がされており、大体の医療機関では「ピン方式」が採用されていると思います。

酸素流量計

大体の施設では、酸素流量計といえばこのタイプの流量計が採用されているのではないでしょうか。

このタイプはアウトレットに接続するタイプであり、酸素ボンベには接続出来ません。

逆に酸素ボンベに直接接続するタイプの流量計はどんなものでしょうか。

このようにネジ締めが出来るタイプが酸素ボンベと直接接続するタイプの酸素流量計です。ただし、写真からも分かる通り、これは酸素ボンベと直接接続するタイプであって、アウトレットを介する訳ではありません。

減圧弁

各デバイスの取り扱い

では本題。酸素ボンベと酸素流量計、及び減圧弁の取り扱いについてです。

酸素ボンベの取り扱い

まずはボンベについて。

酸素ボンベというのは、高圧状態のボンベです。

意味が分からない方のためにいうと、通常私たちが暮らす地上は、

1気圧=1,013.25ヘクトパスカル

という圧力が掛かっています。しかし、満タンのボンベは

143.1039気圧 = 14.5メガパスカル

となっています。

水が高い位置から下へ流れるのと同じで、酸素もボンベから大気中へと流れていきます。なんせ圧力が143倍掛かっていますからね。大変です。

もし酸素ボンベに何も取り付けずに開栓した場合、勢いよく酸素が噴き出ることになり、場合によっては酸素ボンベが吹っ飛んでいく事故が発生します。これは相当危険です。

その為、最初にご紹介したポストは危険だということです。

酸素流量計の取り扱い

酸素流量計は、特に取り扱いに注意事項はありません。

アウトレットに取り付けている場合はただ単に外せばいいだけです。

ただし、ボンベから取り外す場合には注意が必要です。

まず「ボンベを閉栓し、流量計を全開にして流量計内の酸素を流し切る」作業が必要です。

これはボンベと直接接続するタイプには必ず必要な作業です。

後で説明する減圧弁の場合には、流し切ることで減圧弁内の圧力をゼロにするという工程も必要です。

もし開栓した状態で取り外そうとする場合、接続口には150kgほどの圧力が内側から外側に掛かっている計算になるため、人力で取り外すのは不可能なのです。専用の工具を使ったとしても不可能です。

なので、酸素流量計の圧力計の針が動いている状態で取り外すのはやめましょう(そもそも出来ないけど)。

減圧弁

先ほども説明した通り、ボンベには大変高い圧力が掛かっています。この圧力を下げて、人間が安全に取り扱うことが出来る圧力にまで下げる役割をもつのが、この「減圧弁」です。

酸素ボンベに壁面に挿すタイプの酸素流量計を接続する場合、この減圧弁が必要になります。

減圧弁の厄介なところは、自身では圧を排圧出来ないところです。

その為、酸素ボンベのバルブを閉めた上で、ピンを軽く挿すことで「シュー」と酸素を排出し、圧を減圧弁から逃がす必要があります。もしくは流量計の流量を最大にし、酸素を流し切る必要がありますね。

この様に、酸素ボンベは高圧状態で取り扱う為、常に危険と隣り合わせであるという認識を持つ必要があるのです。

また、ボンベを開けた状態では、先にも述べた通り大変な力(圧力)が掛かっているので、人力では解除不可能だというのを覚えていてください。

酸素ボンベの事故

酸素って色んなところで使われるんですが、その分事件事故も多いです。

じゃあどんな事件事故が多いのかを、ちょっと見てみましょう。

在宅酸素の接続部から発火し住宅火災(大阪、2020)

在宅酸素の容器に別の調整器を接続し、バルブを開けて電源を入れた直後、容器バルブと調整器の接続部付近から発火。患者が軽傷、住居の天井と壁も焼損しました。大阪市消防局などは、接続部の可燃性異物に酸素の断熱圧縮が関与した可能性を示しています。

https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/jikogaiyouhoukoku/2020-414.pdf

外出先での医療用酸素ボンベ使用中に出火し死亡事故(東京、2019)

幼児が車椅子で医療用酸素吸入器具を使用中、容器と流量調整器の接続部から酸素が漏えいし火災に至ったと推定され、幼児が翌日死亡、消火に当たった2人も軽傷を負いました。調査では、ボドックシールの異常による漏えいと、酸素中での燃焼性上昇・流体摩擦による着火が強く疑われています。

https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/jikogaiyouhoukoku/2019-638.pdf

この他にも様々な事故があるようですが、そこは割愛させていただきましょう。

あとがき

さて、今回は医療系アフィリエイトアカウントがポストした危険な内容について述べてみました。

医療従事者にとって、乳がんの部位取り違えに端を発した医療安全の機運というのはとても大切な運動です。

確かに酸素ボンベを誤って開栓した程度ではインシデントレポートを書く施設は存在しないでしょう。しかし、その取扱いは、一歩間違えば人命を脅かすということは覚えておかなければなりません。

先のアカウントには、誤情報だけでなく、正しい医療情報の啓蒙にも【是非】努めてほしいものですね。

では今回はこの辺で。

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