さて、このブログの読者層はどのような方でしょうか。
ほとんどが医療従事者の方ではないでしょか。
今回は医療従事者や、これから医療従事者を目指す高校生の方を対象として書いていきたいとも思います。
では行きましょう。臨床工学技士の世界へ。
そもそも臨床工学技士って?
さて、臨床工学技士とは何でしょうか?
以下の文言は「日本臨床工学技士会」の臨床工学技士紹介ページにあるものです。
病院の中には医師や看護師の他に、レントゲン・CT・MRIなどを扱う診療放射線技師、血液や細菌検査・心電図や脳波などの検査を行う臨床検査技師、リハビリテーションを行う理学療法士が働いています。ここでご案内する『臨床工学技士』も病院で働く医療技術者です。医師以外の診療補助に従事する看護師や各種の医療技術者のことをメディカルスタッフと呼んでいます。臨床工学技士はメディカルスタッフの一職種であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。 今後益々増大する医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。臨床工学技士の制度が出来たのは比較的新しく、1987年に制定されました。臨床工学技士になるには定められた学校を卒業し国家試験を受ける必要があります。1987年5月に制定された「臨床工学技士法※」に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格です。
日本臨床工学技士会ー臨床工学技士についてー
上記にあるように、僕ら臨床工学技士は病院の中にある小中様々な機器を扱う”医療機器のスペシャリスト”として活躍しています。
どんな事を仕事としているのか?
臨床工学技士の業務は多岐にわたります。一例としては以下に示すような業務があります。
- 血液浄化(主に血液透析)
- 呼吸器(主に人工呼吸器)
- 循環器(主に心臓カテーテルや人工心肺)
- 機器管理(輸液ポンプやシリンジポンプ点検)
を主としています。他にも手術室での機器管理や内視鏡検査での医師補助を行う施設や、循環器での心臓植込み型デバイス(ペースメーカーなど)の操作を行います。
筆者が感じてきた臨床感
筆者は2023年時点で技士として13年過ごしてきました。
そして思う事は、下手をすれば看護師よりも患者に近い位置にいるのではないだろうか?という事です。
筆者は13年間、一貫して血液浄化業務、特に血液透析に関わってきました。
血液透析というのは、多様な側面をもつ医療であります。そしてその一側面として「延命治療」であるという顔を持ちます。
延命治療ということは、その患者の死までを見届けるという事とほぼ同義なのです。
維持透析はもちろん、急性血液浄化ーCHDFーでは、命の危機に瀕した患者の生死に向き合って仕事をすることになります。
循環器などは特に生死に関わっています。
心停止を起こした患者に、蘇生処置を行いながら治療に当たることもしばしばです。
このCOVID-19においては、メディアでも取り上げられた補助人工心肺であるECMOの組み立て・操作・設定に関しても、我々臨床工学技士は最前線で業務をこなしてきました。人工呼吸器の管理も同じくです。
この様に、医師や看護師と横並びで、患者に接する機会の多い職業だという事をご理解いただければと思うのです。
学生へ伝えたい事
「臨床工学技士」という名称柄、機械を相手にするだけだろう。と思っている学生は少なくないのではないでしょか。
筆者も学生の頃はそうでした。まさしく想像力の欠如とでも言いましょうか。
しかし、臨牀に出て、患者に針を刺し、患者と会話をし、そして最後を見届ける。その衝撃はまだ新人だったころの筆者にはとても衝撃的だった事を未だに覚えています。
年を取り、それなりに臨牀を熟す中では胸骨圧迫をする機会も数度経験しました。
臨床工学技士とはそういう職業だという事を肝に銘じて、国家試験に臨んでほしいと思うのです。
筆者が学生に伝えたい事は以上です。
あとがき
そんな職業が僕ら”臨床工学技士”なのです。
臨床工学技士について、どんな仕事か紹介している書籍もあるのでご紹介しますね。
興味があれば覗いてみてください!
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