臨床工学技士会とは〜存在意義と必要性〜

資格

今回はタイトルにある通り、日本臨床工学技士会、通称日臨工について少しばかり解説できればと思います。

これを書こうと思った経緯

筆者は臨床工学技士になったと同時に日本臨床工学技士会にも入会しました。

当時の施設が某地方臨床工学技士会の役員をしていたから、という切っ掛けは大いにありますが、それでも、転職を機にいつでも退会することのできる技士会を続けていたのには理由があります。

人脈です。

しかし、前職では入会者は筆者一人、上司も「あんなもん要らんわ!!」と宣うような職場でした。

しかし、SNSをしてみるとどうでしょか。

これとは一転して技士会入会者が圧倒的多数のように思うのです。

チェリーピッキングな感は否めません。大いにバイアスが掛かっている可能性はあります。

そこで、この記事を書き、自分なりに技士会とは何か?を整理しようと思いました。

技士会って何?

技士会、もとい職能団体とは、様々な職業における地位向上・技能の向上を目指し結成される団体のことです。

これは医療従事者に限ったことではありません。ありとあらゆる職業には職能団体が存在するのです。

医療職種だって、各種団体がありますよね。医師会から始まり、看護協会や検査技師会などなど。

その中の一つに日本臨床工学技士会は存在しています。

存在意義

筆者は別に技士会推しではありません(一応ね)。なので、自分でこうやってタイトル作りながら、両腕組んで「ん~…」とか唸って考えました。難しいんですよね。だから安易に人には勧められないんだと思います。

理念

少し前まで、技士会には理念は無かったと記憶しています(隅々まで見てた訳ではないので、あったならごめんなさい)。

が、今現在はCE PRIDEという標榜を掲げて活動しています。これもひとえに業務範囲拡大のおかげですね。

では理念は何か?というと

命を支えるエンジニア」としてすべての人の健康と命を追求します

となっています。これらを追求するためのステップ・ミッションとして次の言葉が示されています。

  • 貢献:contribution
  • 協働:unity
  • 安全:safety
  • 進化:innovation
  • 信頼:trust

これらの価値観を達成することで、日本臨床工学技士会は日本という国と国民へ貢献しようとしているのです。

入会のメリット

まぁだからといって、それが僕ら技士個々人にどのように関わってくるのか?は中々目に見えにくい所であります。なら逆に、僕らに目の見える何かメリットは無いのか?そこを見てみましょう。

臨床工学技士の業務範囲拡大に伴う厚生労働大臣指定による研修(告示研修2021)

言わずもがな、告示研修2021のお話です。

施設によってかなり揉めたこととお見受けします。その原因が会員と非会員の差額。

非会員 60,000円

会員  38,000円

これを全額施設持ちとするのか、それとも会員価格分のみを施設が持つのか、それとも全額自費か。

筆者の施設では臨床工学技士のみ負担が自費でした。診療放射線技師と臨床検査技師は施設持ちだったのが未だに理解に苦しみます。が、病院の言い分も分かるものです。それは何故か。

技士会への入会者は筆者一人だったからです。数の暴力ですね。他の職種は職能団体への入会率は100%だったのです。これが顕著に出た決定でした。また、会員価格だとしても38,000円は、経済的にも困窮していた筆者の施設では簡単に出せるものではなかったのです。

これから更に業務範囲が拡大することが予測されるこの業界で、今後も会員・非会員として価格差が設けられるのであれば、入会することも安易に選択肢として浮上しますね。

勉強会や研究会

日本全国で日臨工主催・共催の勉強会や研究会は開催されています。これについても、告示研修同様に若干ではありますが参加費に差額が発生しています。若干でもお得に勉強会に参加したいのであれば、入会しない手はないですね。勉強会というのは何も勉強だけではありません。疑問に思えば演者へ質問したり、その後のお食事会などへの参加から人脈を広げるなんてことも可能です。後半の部分は別に技士会へ入会していなくても可能ではありますが、技士会の理事などの意外なつながりも出来るかもしれません(筆者もそうでした)。

各種生命・障害保険

まぁ入会する理由の一番に上がるのがこれかもしれませんね。

各種職能団体にもありますが、日本臨床工学技士会にも日本興亜損保からの団体保険が提供されています。

補償内容は業務中に発生した事故などの損害を補填するものです。これまでこれが使われたことがある大きな事故は聞いたことはありませんが、筆者の前職場では、何があっても守ってはくれなかったのでそういう意味では入っていて損はありません。今や医療事故は個人の責任の時代です。すべての業務手技の責任が医師だけ病院だけの時代は終わりを迎えました。自分の身は自分で守りましょう。

また、がん保険や収入保障保険も用意されています

日本臨床工学技士会の入会者年齢分布では、20~30代が大部分を占めるようです。この世代が癌になった場合、今はAYA: Adolescent &Young Adult(思春期・若年成人)世代と総称して治療に取り組んでいます。働き盛りであり、またライフステージの変化で家庭を持つ方も居るでしょう。その世代の方々が安心して暮らせるように、がん保険が用意されています。

また、思わぬケガや筆者のように職場のパワハラにより休職になったりした場合、収入は2/3まで下がることになります(傷病手当を使った場合)。ただでさえ少ない収入がさらに下がることになるのは大きな痛手です。その部分を保障して頂けるのは働き盛りとしてはとても安心感が大きいと思います。

特別金利でローンが組める

まぁ・・・これは微妙な特典かもしれません。筆者はまだ使ったことがありませんが、新車の購入などの場合に、技士会の特別金利でローンを組むことが出来るので、車の買い替えなどを検討している方は使用の検討をしてもいいかもしれません。

また、昨今では大学院進学も大いに話題になりつつあります。奨学金が借りれなかった場合などでも、学資保険としての使用が検討できるので、いいかもしれませんね。

各種認定・専門の策定

これもまた微妙なところです。筆者は勉強は必要と思う派です。なので資格取得は大いに推奨する立場です。

専門臨床工学技士の取得には、日本臨床工学技士会に5年間、途切れなく入会していることが基本必要になります。その為、辛抱強く5年間入会した上で、試験を受け、合格し申請する必要があるのです。しかも試験に必ずしも合格するとは限らないので、ここもまた難しいところです。

次々と出来る認定や専門ですが、施設によりこれらに手当が付くかどうかはまちまちなので、かならず取得しろ。は言い過ぎかもしれません。一部診療報酬が付くようにはなりましたが、それでも、施設側がそれらに理解を示さないのであれば、ストライキ精神から取得しないというのもありだとは思います。取得すれば診療報酬や施設認定が付く。施設の売り上げに貢献するんだぞ!!だから手当を!!と言ってもいいかもしれません。その為の専門職種です。

技士会の必要性

さぁいよいよ後半戦です。

技士会の必要性ですが、はて目には見えずらいものです。

技士会の活動は多岐に渡ります。

国際会議への出席やIEEEの策定、発展途上国への技術支援などもあります。ここら辺は入会して広報誌を読まなければ目に見えないことかもしれません。

ただ、外ばかりに目を向けてばかりでもいけません。国内情勢も鑑みる必要があります。

診療報酬は減る一方、技士の人数は増える一方です。患者数は減少の一途を辿り、急性期病院は統廃合が進むため、必然的に技士のフィールドワークは減少してしまいます。

この中でどのように技士の働く場を確保していくか。は日本臨床工学技士会の仕事だとも言えます。

その為、上記でも述べたような各種認定や専門を設定し、内外にそれらの業務に知識があることを示し、医療安全として業務参画することが求められています。

業務として実績を積むことで、国や厚生労働省へやっと働きかけが出来、診療報酬の枠組み獲得となります。

臨床現場から出来る診療報酬への働き掛けはこの一つだけかもしれません。実績を作る。

一方、政治の方面から働き掛ける組織もあります。それが日本臨床工学技士連盟です。

日本臨床工学技士連盟

日臨工は「公益社団法人」なため、政治活動に一定の制約が掛けられています。

その為、政治の力を借りて団体として診療報酬の枠組みを獲得する活動をするために結成されたのが日本臨床工学技士連盟です。

こちらでも、日々様々な活動を通じて、臨床工学技士の専門性や実績を厚生労働省へ上げ、それを通じて臨床工学技士の活躍の場や診療報酬を獲得しようと働きかけています。

詳しくは日本臨床工学技士連盟のサイトをご覧ください。

あとがき

筆者はかれこれ10云年技士会に入会しているわけですが、まさか途中で専門臨床工学技士が設立されるとは思っていなかったため、それまで入っていて良かったな~と当時は思いました(結局は取得できてないわけですが・・・)。

後輩たちにも入職時、「技士会どう?」と一声は掛けるようにしていますが、上司や職場の理解が無ければ入会は難しいものです。

ただ、保険に関しては誰でもケガや病気のリスクはあるものです。精神疾患もしかり。誰にだってなる可能性はあるんです。だからこそ備えは必要です。

勉強会や各種資格の事も視野に、技士会に入ってみてはいかがでしょうか?
意外に技士会の委員会活動なども楽しいものですよ(筆者は昔、地方技士会の委員会活動をしていました。)

フレッシュマンの多いこの時期だからこそ読んでいただきたい記事を、主観たっぷりに執筆してみました。

筆者は二人羽織形式の記事作成が苦手なので、他のブログ様より見難いのはご了承ください。

技士会に関する疑問質問、あればコメントください。わかる範囲で答えします。

ではでは~~

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