前回の記事で透析液の歴史や透析液の種類について解説させていただきました。
今回はその続きとしまして、とてもレアな透析液処方であるAcetate Free BioFiltration:AFBFについて解説していこうと思います。
では行きましょう。Acetate Free BioFiltration:AFBFの世界へ
そもそもなぜ生まれたのか
前回の記事の中で、透析液の変遷について解説しました。
透析液とは如何に生理的であり、且つ有害でないかを追求する医薬品となります(まぁ医薬品は全部そうなんですが)。
透析液も酢酸入れたり重炭酸入れたりクエン酸入れたりと様々な試行錯誤が繰り返されて今に至ります。
しかし、CaやMgの析出、酢酸不耐症の出現など、問題は様々でした。
そこでより生理的な透析を追求しよう!!として生まれたのがAcetate Free BioFiltration:AFBFです。
Acetate Free BioFiltration:AFBFの特徴
AFBFは重炭酸Naや酢酸(クエン酸などのアセテート)などの緩衝材を一切含まない透析液を使用しつつ、1.39%炭酸水素Na溶液を置換液として行う後希釈方式のoff-Line HDFになります。
メリット
今では少なくなった酢酸含有透析液や、カーボスターに見られるクエン酸含有透析液などの緩衝材を一切含まないため、酢酸不耐症を呈することが無く、また置換液の注入速度は患者ごとに個別に調整することが出来る為、最適な酸塩基平衡の是正が可能です。
また、濾過で除去される体液とほぼ等張の置換液を補充される為、細胞内から細胞外への水分移動(血漿再充填)を容易にし、循環動態を安定させる効果も期待出来ます。
この為、保険適応は透析困難症及び代謝性アシドーシスの改善不良例になります。
デメリット
通常のPost-HDFの置換量が5L程度であるのに対し、AFBFの体液置換量は時間当たり1.4~2.0Lと少ないのが特徴です。
その為、低分子量蛋白の除去効率は通常のPost-HDFに比べて高くはありません。
また、後述しますが専用の個人機が必要になる点もデメリットになります。
より生理的な透析を目指して
上記のようなメリットデメリットがあるAFBFですが、やはり一番の目的は緩衝材の除去にあると思います。
これまで含まれていた酢酸では、末梢血管拡張作用や心機能抑制作用により血圧低下を来たしたり、その代謝速度の低下により酢酸不耐症を呈することがありました。
また、従来の透析液に含まれる緩衝材(重曹やクエン酸)の量では、代謝性アシドーシスを十分に是正することが出来ず、かつ代謝性アシドーシスではアルブミンの合成が抑制されるという報告もあります。
それらを是正してくれるのがAFBFなのです。但し、普及しようにも専用の個人機が必要であったりと壁が高いのが現実です。
置換液の注入速度に関しては、血流量の12.0~13.5%程度が適切とされています。また、置換液切れを検知した場合のフェイルセーフには透析液が強制的にバイパスするようにも設計されています。
あとがき
今回は簡単にですがAcetate Free BioFiltration:AFBFについて解説してみました。
あまり見る機会のない治療法ですが、こんなのもあるよー程度に覚えておいて損はないと思います(血液浄化専門でも問われています)。
日本では唯一、バイオフィル透析剤、バイオフィル専用炭酸水素ナトリウム補充液1.39%が承認されています。この点にも注意が必要ですね。
今回の記事は大変短くなりましたがご了承ください。
ではまた~~
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