潰瘍性大腸炎に対する血液浄化~アダカラムとイムノピュア~

血液浄化

今回もアフェレシス療法について解説をしていこうと思います。

今回はGCAP : GranuloCytAPheresis 顆粒球吸着除去療法について解説していこうと思います。

といってもDHP:Direct HemoPerfusion 直接血液灌流ですので、回路構成は省略ですね。

ではタイトルにあるデバイスは何が違うのか?そこを見ていきましょう。

イムノピュア

このデバイスは比較的新しく、2020年3月に製造販売承認を取得、同年6月から保険適応開始となったデバイスです。

イムノピュアの命名規則

命名規則、なんて大それたタイトル付けてますけど大したことはありません。

immnopureなので

immuno : 免疫

pure : 純粋→キレイにする

だからイムノピュア、なんでしょうと筆者は思っています。まぁ簡単で覚えやすいからいいですよね。

素材と原理

リガンド:非晶性ポリアリレート

ケース:ポリカーボネート

ヘッダー:ポリカーボネート

Oリング:シリコーンゴム

ガスケット:ポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレート

シリコン栓:シリコーンゴム

本治療はDHPの為、その治療原理は吸着です。リガンドとしての非晶性ポリアリレートに顆粒球、単球、血小板を吸着させることにより、カラム通過白血球の走行性低下、血管内皮への接着能低下、さらに各種炎症性サイトカイン産生能低下などの機能変化が起こり、免疫学的過剰反応が抑制され、炎症を鎮静化させると考えられています1)

適応疾患

本デバイスの適応疾患は2023年4月現在、

活動期の潰瘍性大腸炎(UC : Ulcerative Colitis)(中等症難治例)

に限定されています。アダカラムとはこの点が違いますね。注意してください。

診療報酬と償還費

本デバイスの診療報酬と償還費は以下の通りです。

償還費 122,000円

保険点数 J041-2 血球成分除去療法(1日につき)2,000点

潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行っ た場合に限り算定できる

なお、当該療法の実施回数は、一連につき 10 回を限度として算定する。ただし、劇症患者については、11 回を限度として算定できる。

ここまででイムノピュアの項は終了になります。

え?アダカラムと何がちゃうねんって??まぁまぁ。それはこれからのお楽しみという事で。

アダカラム

このデバイスはとても息の長いデバイスです。

承認年月日は平成11年10月29日、1999年ということになります。

命名規則

adacolumnというのが英語名称です。

adsorpition : 吸収

coulumn : カラム

というわけで、吸収するカラム・・・という特に捻りの無い命名規則なんじゃないかなーと推測します

素材と原理

原理はイムノピュア同様に吸着ですが。リガンドが違います。

リガンド:酢酸セルロース

本体・キャップ:ポリカーボネート

Oリング:シリコーンゴム

フィルター:ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレート

カラムを通過した顆粒球の65%、リンパ球の55%が吸着されることで、イムノピュア同様の機序により、炎症を抑制すると考えられていますが、詳細な機序が明らかか?といわれると難しいようですね。

適応疾患

ここからがアダカラムの本領発揮です。アダカラムはその実績を着実に積み上げ、様々な適応疾患を獲得してきたデバイスになります。

1998年   潰瘍性大腸炎に対する保険適応開始

2008年9月2日 クローン病に対する適応追加

2012年6月25日 膿疱性乾癬に対する適応追加

2018年6月10日 関節性乾癬に対する適応追加

2021年7月14日 潰瘍性大腸炎の寛解維持に対する適応追加

診療報酬と償還費

これに関してはイムノピュアと同額・同点数です。但し、適応疾患が違う為、注意事項がかなり違ってきます。

1) 血球成分除去療法(アダカラム)は、潰瘍性大腸炎、クローン病、膿疱性乾癬又は関節症性乾癬患者に対して次のアからカまでのとおり実施した場合に算定できる。
ア:潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。
なお、当該療法の実施回数は、一連につき10回を限度として算定する。ただし、劇症患者については、11回を限度として算定できる。
ウ:栄養療法及び既存の薬物療法が無効又は適用できない、大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者に対しては、緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。
なお、当該療法の実施回数は、一連の治療につき10回を限度として算定する。
エ:薬物療法が無効又は適用できない、中等症以上の膿疱性乾癬患者(厚生労働省難治性疾患克服研究事業稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班の診断基準)に対しては、臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定できる。
オ:関連学会のガイドラインに準拠した既存の薬物療法が無効又は適用できない関節症性乾癬患者に対しては、臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき2クールを限度として算定する。なお、当該療法の実施回数は、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定する。ただし、1クール終了時に治療に対する効果を判定し、無効と判断されれば中止すること。
カ:寛解期の潰瘍性大腸炎で既存の薬物治療が無効、効果不十分又は適用できない難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、寛解維持を目的として行った場合に限り、原則として一連につき2週間に1回を限度として48週間に限って算定する。なお、医学的な必要性から一連につき2週間に2回以上算定する場合又は48週間を超えて算定する場合には、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
また、初回実施に当たっては、医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること2)

この辺りは専門臨床工学技士試験でも問われることがちょくちょくあるようなので、覚えておいて損は無いかもしれません。

あとがき

アダカラムはつい最近寛解期導入が可能となりました。また、膿疱性乾癬と関節性乾癬に関しても現在再審査請求中と使用成績評価期間の為、情報は常にUpdateしなければなりません。

イムノピュアも同様に、恐らくこのまま潰瘍性大腸炎だけで適応が終わるとは思えないので、注視していきたいところですね。

使用方法に関しても、DHPとしてカラムに血液を通すだけの為、簡便かつ安全です。これに関しては両方とも同じなんでいいですね。特に説明はありません。

こんだけ簡単に終わっていいの??というところですが、デバイスの解説だけとなるとこれだけなんですよ。ほんとすみません。

他にもこの記事でこんな事知りたい!!とかあれば加筆しますのでご連絡ください。

ではでは~~

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1)杉本 健 , 花井 洋行 , IV.炎症性腸疾患の治療 血球成分除去療法 , 日本臨床80巻3号(2020-3)

2)令和4年厚生労働省告示第54号 , 令和3年12月28日 保医発1228第2号 , 令和4年3月4日 保医発0304第9号

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