FGF23とは何者か??

血液浄化

 おはこんばんちわなら

 さて、今回もニッチな記事第n弾を書いてみようと思います。

 今回は数年前から透析界隈では賑やかになっているホルモンであるFGF23について解説していこうと思います。

 自分も備忘録として書いていこうと思うのでお付き合いお願いいたします。

 では行きましょう。FGF23の世界へ

FGF23とは?

 さて、とは言ったものの、そもそもFGF23とは何なのか?から始めるべきでしょう

CKD-MBDシリーズでもその名称は登場しています。

 どうしてCKD-MBDでその名前が出てくるのか?それは、このホルモンがリンの調節に一役買っているからです。

 さて、FGF23とは何か?ですが、正式名称は

 FGF23:Fiblobrast Grows Facter 23・・・線維芽細胞増殖因子23

 といいます。

 産生場所は骨細胞と言われていますが、その詳細は未だ不明なことが多いのが実情です。

生理的な意義や作用について

 さて、このホルモン、あまり分かっていることはありません。

 そんなものをテーマとして取り上げたのか!!とか怒らないでください。。。

 元来、FGF23はリンの排泄を調節するホルモンとして説明されてきました。しかし、今ではその他にも様々な作用が判明しています。

 文章として表現すると、骨の骨細胞から分泌されたFGF23は、腎の近位尿細管冊子縁膜にあるtype Ⅱ a Na/Pi, type Ⅱ c Na/Piに作用し、その発現を減少させ、近位尿細管でのPの再吸収を抑制させます。結果として血清P値の低下に繋がります。その他にも、ビタミンD3は吸収後、肝臓においてCYP27Aにより水酸化を受け25水酸化ビタミンD3[25(OH)D]に代謝されます。そして、この活性の低いビタミンDは更に腎臓の近位尿細管でCYP27Bにより代謝されるのが本来ですが、このCYP27Bに対してFGF23が作用し、1α,25水酸化ビタミンD3[1,25(OH)2D]への合成が阻害されます。同時に活性型ビタミンDの過剰やFGF23の分泌により腎臓の近位尿細管でCYP24の発現が亢進することで25(OH)D,及び1,25(OH)2Dが水酸化を受け、活性型ビタミンDは不活化します。

 このサイクルが腎機能の低下によりサイクリングされ、SHPTやCKD-MBDを進展させてしまうのです。

 また、最近の研究では、赤芽球由来のFGF23が造血幹細胞の動員を促進する1)ことも判明しています。

 骨髄内が低酸素状態になることで、赤芽球から大量のFGF23が放出され、その濃度は20,000倍にも上ります。この高濃度で造血幹細胞を骨髄に留めるアンカー分子の働きを緩めることによって、骨髄から末梢血に造血幹細胞が送り出されること(動員)が明らかとなりました。

透析での振る舞いは??

 さて、我々が活躍するフィールドワークは血液浄化ー血液透析です。

 ではFGF23はどのような挙動を示すのでしょうか。

 日本透析医学会の論文誌に投稿された論文があります。

 「前希釈On-line HDFにおけるFGF-23の除去について」2)と題された論文では、その除去率などの比較検討をしています。

 これによると、FGF23の分子量は32kDaであり、α1-MGの33kDaと近似している。その為、除去率に関してもよく似た挙動をするといいます。

 論文中ではヘモダイアフィルターとしてポアサイズが最大径であるGDFシリーズ、HD膜としてはFX-Sを用いています。

 除去率に関しては、FGF-23の除去率の比較は、HDF群で64.2±7.6%、HD群で39.3±9.0%であり、HDF群が有意に高値を示したとあります。この比較はPre-OHDF 48Lでの比較になります。

 FGF23の血中濃度はそれ単独で予後因子になりえ、残腎機能にも影響を与えることから、積極的な除去が望まれる大分子量物質であることが伺えます。

 2024年、本邦でも主流となっているPre-OHDFですが、その補液量に関しては未だ決定打となるような研究は多くありません。CONVINCE Studyはその部分を明らかにしようとしたRCTであり、今後の展開に期待です。

 また、日本でも「JAMREDS-Study」が組まれており、α1-MGの除去率をメインに検討がなされているため、解析結果に期待が寄せられています。

あとがき

 2024年の初執筆はFGF23についてでした。

 FGF23-Klothを形成して色々を悪さをしてしまうため、やはり量が少ないに越したことはないと考えられていいます。

 筆者自身も、ここら辺をターゲットに何かテーマが見つけれればな~…とか考えております。

 その際は是非とも学会で!!

 では今回はこの辺で。

 さようなら~

1)Shinichi Ishii,Tomohide Suzuki,Kanako Wakahashi,Noboru Asada,Yuko Kawano,Hiroki,Kawano,Akiko Sada,Kentaro Minagawa,Yukio Nakamura,Seiya Mizuno,Satoru Takahashi,Toshimitsu Matsui,Yoshio Katayama ; FGF-23 from erythroblasts promotes hematopoietic progenitor mobilization;Blood (2021) 137 (11): 1457–1467.

2)惠 以盛;前希釈on-line HDFにおけるFGF-23の除去について;日本透析医会雑誌,Vol.32 No.2 2017

3)福本誠二;リン調節ホルモン,線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の作用と作用異常;日本内科学会雑誌第100巻第12号・平成23年12月10日

4)福 本 誠 二;FGF23とCKD-MBD;日腎会誌 2014;56(8):1210‒1217.

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